平戸記
提供: 新纂浄土宗大辞典
へいこき/平戸記
正二位民部卿平経高の日記。平姓で民部卿の唐名戸部尚書から『平戸記』という。別名『経高卿記』。現存する内容は嘉禄三年(一二二七)から寛元四年(一二四六)の記事で欠落が多い。平経高は徳政政策に努め、広橋頼資の『頼資卿記』によると朝儀や公事に高い見識を有し、政務に練達した人物として知られ、それ故本書から長期にわたる朝廷と鎌倉幕府との関係を知ることができる。庶政に関わり九品念仏の記事(仁治三年一〇月一三日)などがあり、また善導の遠忌には持仏堂に善導の形像を安置し昼夜念仏をする(寛元二年三月一四日の条)など、法然滅後の念仏集団の史料を提供してくれる。
【所収】『増補史料大成』三二~三三
【資料】矢野太郎「平戸記解題」(『増補史料大成』三二)
【参照項目】➡平経高
【執筆者:魚尾孝久】