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地獄の釜の蓋もあく

提供: 新纂浄土宗大辞典

じごくのかまのふたもあく/地獄の釜の蓋もあく

正月一六日とお盆の七月一六日の休日、いわゆる「藪入り」を指すことわざ。この両日は閻魔の斎日である。「地獄の釜」は、地獄で罪人を煮えたぎらす大釜のことで、そうした地獄の釜の蓋も一年に二度は開いて、閻魔大王配下の鬼の獄卒たちも仕事を休むとされる。これにならって、常日頃働きづめの人も、この日ばかりは心身を憩い、休日とするわけである。かつてはとくに労働条件もきびしく、それこそやむを得ずして寝食を忘れるばかりに働かされていた人たちにとっては、この地獄の釜の蓋が開く日が、どんなに待ち望まれるものであったか、想像にあまりあるものがある。


【執筆者:勝崎裕彦】