六塵(色・声・香・味・触・法)のそれぞれを観想することが、そのまま阿弥陀仏を念ずることになるとする、天台教学における念仏義の一つ。この行法は六境に即すことが、そのまま即空即仮即中の三観に繫がることから提唱された。忍空『勧心往生論』に歴縁対境念仏の方法の一つとして、六境に即して心念口称すべきこと、そして六境をもって極楽浄土の荘厳を観想しつつ念仏する具体的行法が詳しく解説される(浄全一五・五三九上)。
【資料】聖冏『勧心往生論慈訓鈔』(浄全一五)
【執筆者:石上壽應】