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三心私記裒益

提供: 新纂浄土宗大辞典

さんじんしきぼうやく/三心私記裒益

三巻。具に『浄土三心私記裒益』という。忍澂編。天和二年(一六八二)成立。忍澂良忠三心私記』を会本形式に改編し、他の良忠撰述書等の三心釈をも付加・増補して編纂した書。忍澂は本書を会本形式に改編した理由について、①『三心私記』の刊本は訛脱が多い。②三心の一つひとつが四門で区切られているため通覧するのに不便。③『決疑鈔』『伝通記』と『三心私記』の三心釈とを比較するのに不便。④『三心私記』は平易すぎるので良忠晩年の著述によって補う必要がある、などの四項目を列挙している。本書は『伝通記』『決疑鈔』の三心釈のみならず、『選択集』や良忠述『往生礼讃私記』等の三心釈をも増補しており、また『三心私記』の本文を訂正・増補している。したがって、『三心私記』の原本とは全くの別本として取り扱うべきである。


【所収】浄全一〇


【参考】廣川堯敏「新出の良忠述・一巻本『三心私記』について」(『仏教文化研究』三二、一九八七)


【参照項目】➡三心私記


【執筆者:廣川堯敏】