おてつぎ運動
提供: 新纂浄土宗大辞典
おてつぎうんどう/おてつぎ運動
総本山知恩院が提唱する念仏信仰運動。念仏を称えることによって、明るく、正しく、仲のよい日暮しを得て、家庭や地域社会の幸福と平和の実現へと導かれることを願って、昭和四一年(一九六六)に発足。人々と社会の真の意味での平和を実現するためにも、より多くの仲間で輪をつくり、人から人へと法然の教えを伝えようとする運動。「おてつぎ(お手次)」ということばの由来は、『授手印』に「念仏往生浄土宗結脈相伝手次事」とあり、最後の「よって秘法を録するの状、手次をもってす」によったもので、手から手へと念仏の教えを伝える姿をいう。運動に加入する寺院を寺院支部とし、知恩院の本部と連携して教化を推進。全国の教区ごとに教区支部を組織し、教区長・教化団長をそれぞれ教区支部長・推進委員長とした。平成二五年(二〇一三)よりは、各地区を代表する中央運営委員による中央運営委員会を発足させるとともに、各教区から推薦された代議員制度を改正し、教区推進委員制度を発足、おてつぎ運動教区推進委員会議を開催し、地区・教区との関係を深めるとともに、信仰運動としてより一層の発展を目指す。平成二一年(二〇〇九)には、三千八百余りの浄土宗寺院が加入するなど全国の過半数(正住職寺院の約七割)の寺院で組織され、ハワイ・南米開教区の寺院や個人会員のほか、おてつぎ運動推進協議会や華頂婦人会総連盟など、檀信徒が中心となって運動を推進する団体を擁し、菩提寺での奉仕活動のほか、祖山での諸行事に参加・協力し、自身の研鑽と親睦を深め、信仰の培養に努める。さらに平成一〇年(一九九八)より、子育て中の母親と〇歳からの子供達に、宗教情操に支えられた安らぎを提供するサラナ幼児教室を開設、教室運営や指導者育成制度の改善をかさね、同一四年からサラナ親子教室に名称をあらため、知恩院教室をはじめ全国で展開している。
【執筆者:神田眞晃】