浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z09_0035A01: | 閑亭後世物語卷上 |
Z09_0035A02: | 沙門 隆寬 述 |
Z09_0035A03: | 問。時に隨ひ機にしたがひて。念佛して極樂をねがへ |
Z09_0035A04: | ども。往生を決定とも思ひ定ず。如何樣に習學しては。 |
Z09_0035A05: | 信心を取かため候べき。答。經の文は深くして。四依 |
Z09_0035A06: | の菩薩ならでは悟べからず。論の心かすかとして。三 |
Z09_0035A07: | 國の大師ならでは明難し。漢家本朝の章疏千萬なり |
Z09_0035A08: | といへども。末學とり〲に義理を諍へば。我等ごと |
Z09_0035A09: | きの愚鈍の者どもは心得がたし。た※須世に聞へた |
Z09_0035A10: | る碩學明匠の。旣に往生の素懷を遂給へる淨土の先 |
Z09_0035A11: | 達の口傳を受用侍べき也。〓所謂空也上人。惠心僧都。 |
Z09_0035A12: | 永觀律師。珍海法師。法然上人。隆寬律師。聖覺法印。 |
Z09_0035A13: | 淨遍僧都。明遍僧都。明禪法印。乘願上人。敬日上人等 |
Z09_0035A14: | 也。此等の明訓末代の衆生の爲の明鏡也。其傳をきか |
Z09_0035A15: | ん人往生何の不審か殘るべき。 |
Z09_0035A16: | 問。念佛は三心具足して申こそ往生すれ。若一心もか |
Z09_0035B01: | けぬれば。生る事を得ずと申人も候。又三心の沙汰な |
Z09_0035B02: | けれども。只念佛だに申せば。往生すと申人も候。如 |
Z09_0035B03: | 何心得候べき。答。何も僻事には候はず。具してこそ |
Z09_0035B04: | 生るれ。具せずば往生すべからずと申も。經釋のたし |
Z09_0035B05: | かなる文也。又た※念佛を申せば。一文不通の云にか |
Z09_0035B06: | ひなき者共も往生すと訇候へば。三心はしらねども。 |
Z09_0035B07: | 自然に具せらる〻事にて候也。 |
Z09_0035B08: | 問。しらねども念佛を申せば。自然に三心の具せられ |
Z09_0035B09: | 候樣いかん。答。法然上人の被レ仰たる樣は。詮ずる所 |
Z09_0035B10: | 彌陀を賴みて。僞らず眞實なる心は至誠心也。我身の |
Z09_0035B11: | わろきに付ても。深本願を信じて疑はざるは深心也。 |
Z09_0035B12: | 念佛に依て極樂に生る事を得べしと思定たる心は。 |
Z09_0035B13: | 廻向發願心なりと敎へ給へり。是程の心ばへは。如何 |
Z09_0035B14: | なる無智の者も具しぬべき心也。いかなる智者も只 |
Z09_0035B15: | 此心におちゐて念佛は申也。 |
Z09_0035B16: | 問。本願のめでたき事をば露斗も疑はず。但我心のわ |
Z09_0035B17: | ろき時にはかられば。爭か佛の御心にも叶べきと歎 |