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Z0450 閑亭後世物語 隆寛 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z09_0035A01: 閑亭後世物語卷上
Z09_0035A02: 沙門 隆寬 述
Z09_0035A03: 問。時に(したが)()にしたがひて。念佛して(ごく)(らく)をねがへ
Z09_0035A04: ども。往生を(けつ)(ぢやう)とも思ひ定ず。如何(いか)(よう)(ならひ)(がく)しては。
Z09_0035A05: (しん)()を取かため候べき。答。經の(もん)(ふか)くして。四()
Z09_0035A06: ()(さつ)ならでは(さとる)べからず。論の心かすかとして。三
Z09_0035A07: 國の大師ならでは(あきらめ)(がた)し。(かん)()(ほん)(てう)(しやう)(しよ)千萬なり
Z09_0035A08: といへども。末學とり〲に()()(あらそ)へば。我等ごと
Z09_0035A09: きの()(どん)の者どもは心得がたし。た※(すべからく)世に聞へた
Z09_0035A10: (せき)(がく)(めい)(せう)の。旣に往生の()(くわい)(とげ)給へる淨土の(せん)
Z09_0035A11: (たち)の口傳を受用侍べき也。〓所謂(いはゆる)(くう)()上人。()(しん)僧都。
Z09_0035A12: (やう)(くわん)(りつ)()(ちん)(かい)法師。(ほふ)(ねん)上人。(りう)(くわん)律師。(せい)(かく)法印。
Z09_0035A13: (じやう)(へん)僧都。(みやう)(へん)僧都。(みやう)(ぜん)法印。(じやう)(ぐわん)上人。(けう)(にち)上人等
Z09_0035A14: 也。此等の(めい)(くん)末代の衆生の爲の明(けい)也。其(つたへ)をきか
Z09_0035A15: ん人往生何の不審か殘るべき。
Z09_0035A16: 問。念佛は三心具足して申こそ往生すれ。若一心もか
Z09_0035B01: けぬれば。生る事を得ずと申人も候。又三心の沙汰な
Z09_0035B02: けれども。只念佛だに申せば。往生すと申人も候。如
Z09_0035B03: 何心得候べき。答。(いづれ)も僻事には候はず。()してこそ
Z09_0035B04: 生るれ。具せずば往生すべからずと申も。經釋のたし
Z09_0035B05: かなる文也。又た※念佛を申せば。一文不通の云にか
Z09_0035B06: ひなき者共も往生すと(の〻しり)候へば。三心はしらねども。
Z09_0035B07: ()(ねん)()せらる〻事にて候也。
Z09_0035B08: 問。しらねども念佛を申せば。自然に三心の具せられ
Z09_0035B09: 候樣いかん。答。法然上人の被仰たる樣は。詮ずる所
Z09_0035B10: 彌陀を賴みて。(いつは)らず(しん)(じつ)なる心は()(じやう)(しん)也。我身の
Z09_0035B11: わろきに付ても。(ふかく)本願を信じて(うたが)はざるは深心也。
Z09_0035B12: 念佛に依て極樂に生る事を得べしと思定たる心は。
Z09_0035B13: ()(かう)(はつ)(ぐわん)(しん)なりと敎へ給へり。是程の心ばへは。如何
Z09_0035B14: なる無智の者も具しぬべき心也。いかなる智者も只
Z09_0035B15: 此心におちゐて念佛は申也。
Z09_0035B16: 問。本願のめでたき事をば露斗も(うたが)はず。但我心のわ
Z09_0035B17: ろき時にはかられば。爭か佛の御心にも叶べきと(なげか)

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