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J1420 和語灯録日講私記 義山・素中 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0698A01: の處に出世し玉ふ事は只是れ本願に依れはなり
J09_0698A02: ○たつぬれはとは其本を押し尋ぬれはなり○因位無
J09_0698A03: 諍念王とは是れ悲華經の説也委くは拾因第三因の下
J09_0698A04: に引けり頭書上卅三丁○過度せしめんとは過は度也度は出
J09_0698A05: 也大經上十九丁云過度生死靡不解脱○國をもくらひ
J09_0698A06: をもすててとは太子の貴き位をも捨て玉ふ也○穢土
J09_0698A07: にしてとは釋迦は此の惡世に出て玉ひて衆生を引導
J09_0698A08: し玉ふ此の故に發遣の敎主と云也爾れは所詮は淨土
J09_0698A09: の三部經を説かんか爲めに出世し玉ふ也此れ大悲の
J09_0698A10: 本懷なることを扨因位に無諍念王と申せし時國を棄
J09_0698A11: て位を捨て玉ふ是は大經に説く處と一同かと云ふ
J09_0698A12: とき穿鑿ある事なれとも阿彌陀如來も幾度か出世し
J09_0698A13: 玉ふなれは何れにてもあれ相違は不可有但し元祖
J09_0698A14: は一同と思召す也漢語燈一之四丁望西二之四十二丁○曠劫よりこのかた
J09_0698A15: 等とは番番出世の佛也近くは迦葉如來也此の時も正
J09_0698A16: 像末ありて又其後釋迦出世し玉ふ此の次は彌勒の出
J09_0698A17: 世也○廿丁實敎權敎とは天台四敎義云權是暫用之名實
J09_0698B18: 以永施爲義是則三敎暫赴物情故名爲權圓敎究
J09_0698B19: 竟利物故名爲實と云へり爾れは同し大乘經の中に
J09_0698B20: ても法華涅槃等の五部の大乘經を實敎と云也權敎と
J09_0698B21: は方便の敎也○その益をうとは或は初果二果或は初
J09_0698B22: 地八地或は頓に成佛する等也○五濁惡世にとなへて
J09_0698B23: とは總して須彌の構の南に天竺震旦日本あり其の中
J09_0698B24: にて天竺の眞中に出世し玉ふ五濁即ち惡世也此の五
J09_0698B25: 濁惡世の衆生は重苦の衆生なるか故に大悲の至極を
J09_0698B26: 以て此の世界に出世し玉ふ爾るに其中に上根の人は
J09_0698B27: 大乘の修行をなして得脱す又小乘を説き玉ふ時は小
J09_0698B28: 乘の初果二果或は阿羅漢の果を得る人もあり又大小
J09_0698B29: 乘の修行に堪へさる下劣の凡夫あり是れは面面如き
J09_0698B30: の衆生也爾るに佛在世には希には修行して悟を開く
J09_0698B31: 者もあり此れ正法の時なるか故にされとももはや像
J09_0698B32: 法の時は敎行は有れとも証る人は無し末法には敎は
J09_0698B33: 有りて行証の二は無き也然るに今時は敎も無き道理
J09_0698B34: 也其の由は敎の如く修する者無し故に今時は敎行証

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