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J1400 和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0484A01: きて。修行すへきやうを申すへし。それ淨土に往生
J09_0484A02: せんとおもはは。心と行とのふたつ相應すへきな
J09_0484A03: り。かるかゆへに善導の釋に。たたしその行のみあ
J09_0484A04: るは。行すなはちひとりにして。またいたるところ
J09_0484A05: なし。たたその願のみあるは。願すなはちむなしく
J09_0484A06: して。またいたるところなし。かならす願と行とあ
J09_0484A07: ひたすけて。なすところみな剋すといへり。をよそ
J09_0484A08: 往生のみにかきらず。聖道門の得道をもとめんにも
J09_0484A09: 心と行とを具すへしといへり。發心修行となづくる
J09_0484A10: これなり。今此淨土宗に善導のこときは。安心起行
J09_0484A11: となつけたり。まづその安心といは。觀無量壽經に
J09_0484A12: といていはく。若衆生ありてかのくににむまれむ
J09_0484A13: とねかはんものは。三種の心ををこして即往生すへ
J09_0484A14: し。なにをか三とする。一には至誠心。二には深
J09_0484A15: 心。三には迥向發願心也。三心を具するものはかな
J09_0484A16: らすかのくににむまるといへり。善導和尚の觀經の
J09_0484A17: 疏。ならひに往生禮讃の序に。此三心を釋し給へ
J09_0484B18: り。一に至誠心といは。まづ往生禮讃の文をいださ
J09_0484B19: は。一には至誠心。いはゆる身業にかのほとけを禮
J09_0484B20: 拜せんにも。口業にかのほとけを讃嘆稱揚せんにも。
J09_0484B21: 意業にかの佛を專念觀察せんにも。をよそ三業をを
J09_0484B22: こすには。かならず眞實をもちゐよ。かるがゆへに
J09_0484B23: 至誠心となつくといへり。つぎに觀經の疏の文をい
J09_0484B24: たさは。一に至誠心といは。至といは。眞也。誠と
J09_0484B25: いは。實なり。一切衆生の身口意業の所作の解行。
J09_0484B26: かならず眞實心の中になすべき事をあかさんとおも
J09_0484B27: ふ。外には賢善精進の相を現して。内には虚假をい
J09_0484B28: だく事なかれ。善の三業ををこすはかならず眞實心
J09_0484B29: の中になすべし。内外明闇をえらはず。みな眞實を
J09_0484B30: もちひよといへり。此二つの釋を。わたくしに料簡
J09_0484B31: するに。至誠心といは。眞實の心なり。その眞實と
J09_0484B32: いは。内外相應の心也。身にふるまひ。口にいひ。
J09_0484B33: 意におもはん事。みな人めをかざる事なく。まこと
J09_0484B34: をあらはす也。しかるを人つねに。この至誠心を。

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