ウィンドウを閉じる

J1400 和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0482A01: ひらくなり。つきに聲聞乘といは。はしめ不淨數息
J09_0482A02: を觀するより。をはり四諦の觀にいたるまて。とき
J09_0482A03: は三生。をそきは六十劫に。四向三果のくらゐをへ
J09_0482A04: て。大阿羅漢の極位にいたる也。此二乘の道は。成
J09_0482A05: 實倶舍の兩宗にならふところ也。又聲聞につきて戒
J09_0482A06: 行をそなふべし。比丘は二百五十戒を受持し。比丘
J09_0482A07: 尼は五百戒を受持するなり。これを五篇七聚の戒と
J09_0482A08: なつくる也。又沙彌沙彌尼の十戒式沙摩尼の六法。
J09_0482A09: 優婆塞優婆夷の五戒みなこれ律宗の中にあかすとこ
J09_0482A10: ろ也。をよそこの四乘の聖道は大小乘をえらはず。
J09_0482A11: われらか身にたへ。時にかなひたる事にてはなき
J09_0482A12: 也。もし聲聞のみちにをもむかは。二百五十戒たも
J09_0482A13: ちかたく。苦集滅道の觀成しかたし。もし縁覺の觀
J09_0482A14: をもとむとも。飛花落葉のさとり。十二因縁の觀。
J09_0482A15: ともに心もをよばぬ事也。又菩薩の行にをゐては。
J09_0482A16: 三聚十重の戒發得しかたく。四弘六度の願行成就し
J09_0482A17: かたし。されは身子は六十劫まて修行して。乞眼の
J09_0482B18: 惡縁にあひて。たちまちに菩薩の廣大の心をひるか
J09_0482B19: へしき。いはんや末法のこのころをや。下根のわれ
J09_0482B20: らをや。たとひ即身頓證の理を觀すとも。眞言の入
J09_0482B21: 我我入。阿字本不生の觀。天台の三觀六即中道實相
J09_0482B22: の觀。花嚴宗の法界唯心の觀。佛心宗の即心是佛の
J09_0482B23: 觀。理はふかく。解はあさし。かるかゆへに末代の
J09_0482B24: 行者その證をうることきはめてかたし。このゆへに道
J09_0482B25: 綽禪師は聖道の一種は今の時は證しかたしとのたま
J09_0482B26: へり。すなはち大集月藏經をひきて。そのありさま
J09_0482B27: をあかせり。こまかにのふるにをよはず
J09_0482B28: つきに淨土門は。まづこの娑婆世界をいとひすて
J09_0482B29: て。いそぎてかの極樂淨土にむまれて。かのくにに
J09_0482B30: して佛道を行する也。しかれはかつかつ淨土にいた
J09_0482B31: るまての願行をたてて。往生をとぐへき也。かの國
J09_0482B32: にむまるる事は。すべて機の善惡をえらはす。たた
J09_0482B33: ほとけのちかひを信し。信せさるによる。五逆十惡
J09_0482B34: をつくれるものも。たた一念十念に往生するは。す

ウィンドウを閉じる