ウィンドウを閉じる

J1340 一枚起請但信鈔 隆長 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0082A01: は且く異ありといへども・所證は皆一理也・觀經に・
J09_0082A02: 善解義趣於第一義・第一義ト者眞如ノ理也心不驚動と説給ふ、
J09_0082A03: 此の第一義と云を・善導大師解大乘空義と釋し給
J09_0082A04: ふ・大品に空者大乘の初門なりと説けり大論同之此の
J09_0082A05: 位を密宗には漸入阿字門と談ず・台宗に所立の玅
J09_0082A06: 解玅行よりは卑しき位也といへり・所證の一理なる
J09_0082A07: 事を判ぜば・台敎には初地初住別ノ初地圓ノ初住證道同圓と釋
J09_0082A08: し密宗には・顯宗の圓人・登初住皆入眞言門と
J09_0082A09: 談ず・又淨家にて判ぜば・觀經の上上品に・即悟無
J09_0082A10: 生法忍と説給ふ・此の忍の位を・古德別敎の初地圓
J09_0082A11: 敎の初住也と釋せり・龍女が成佛・韋提の大悟・龍樹
J09_0082A12: の得果・皆圓の初住也・敎觀を修する人に各上中下
J09_0082A13: の三根あり・佛法の中に於て・殊に機を簡はざるは・
J09_0082A14: 念佛の一行なるべし・若し上根の人念佛を修せは・
J09_0082A15: 三昧を發得すべし・中下の機の人とても・業事成辨
J09_0082A16: は・望まじき事にも非ず・萬機臨終成は・佛願成就
J09_0082A17: の上は疑なき事也・和漢の僧傳を見るに・聖道を捨
J09_0082B18: て・淨土門に入れる人あり・又自宗を弘むる傍に・念
J09_0082B19: 佛を勸めし師もあり・此に在て心を起し行を立て成
J09_0082B20: 佛せんと求むるは・自力なれば根機拙き人は成じが
J09_0082B21: たし・之に依て佛の他力を賴み・臨命終の時阿彌陀
J09_0082B22: 佛迎接して・往生を得せしめ給ふ事を願ふべしと・多
J09_0082B23: 分の機に約しては・佛祖共に勸め給ふ也・聖道門の
J09_0082B24: 意は行者の自行猛利なる時・他佛加被を垂給ふ・故
J09_0082B25: に自力は強く・他力は弱し・淨土門の意は・三心を發
J09_0082B26: し・名號を唱ふといへども造惡も止まず・妄念も息ま
J09_0082B27: ざれば自力は至つて弱し・然るに佛願の力強うして・
J09_0082B28: 罪業にも碍えられず・妄念にも染ぜられず・名號を唱
J09_0082B29: れば往生を得・本願名號の力は強く・行者の自心の
J09_0082B30: 功力は弱き也・向阿の云・淨土門の心は止むべき思
J09_0082B31: ひはあれども・縁にあひ境に向ひて力及ばず犯す
J09_0082B32: といへども・意樂を破らざれば正見の人にて往生を
J09_0082B33: 遂くべき也・上人の曰・不止貪愛瞋憎雖似好造
J09_0082B34: 惡只是本性之所致也・依馮本願・今更非許作

ウィンドウを閉じる