浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z14_0401A01: | ば。後に留まる人が涙をこぼすべし。それを見たら |
Z14_0401A02: | ば。往生する人も涙を浮むべし。事の念佛の人が見 |
Z14_0401A03: | たらば。あれ見よ平生死ぬるの生るのと云ふこと |
Z14_0401A04: | は無と云ふこと。卽心念佛申すも。眞の時は涙をこ |
Z14_0401A05: | ぼすと笑ふべし。此笑尤もなるようにて。聞へぬこ |
Z14_0401A06: | となりと云ふて。世間の婚禮を喩へに出されたる |
Z14_0401A07: | は。さることもあるにや。 |
Z14_0401A08: | 答。笑ふなと制せらるれども。ふき出さねばならぬ妄 |
Z14_0401A09: | 談なり。前に現前具縛の凡夫に。不相應の卽心念佛を |
Z14_0401A10: | 勸められ。生死に沒在せる衆生に。生死に於て大自在 |
Z14_0401A11: | なり。大安樂なりと。匹夫に王位を與ふ樣なる過分の |
Z14_0401A12: | 證悟を無理に說き與へられ。此の義を立てんと思ふ |
Z14_0401A13: | より。自害になることをも打忘れたる通妨の云ひ紛 |
Z14_0401A14: | らかしなり。所謂跋レ前踏レ後なるべし。夫生死は人の |
Z14_0401A15: | 一大事なり。佛法を學ぶ者。一刻も忘る可き事に非 |
Z14_0401A16: | ず。世敎にもいはずや。死生亦大なりと。殊に臨終の |
Z14_0401A17: | 一念は無量劫を引く故に。佛祖叮嚀に遺訓し玉へり。 |
Z14_0401B01: | 諸文勞しく引に及ばす。天台宗になりたる甲斐ある |
Z14_0401B02: | 僧と。自ら思ひきはめられたれば。隨分祖師を學び。 |
Z14_0401B03: | 人にも敎えらるべきことなるに。祖師と大にたがえ |
Z14_0401B04: | るは何事ぞや。南岳の思大師。將レ入レ寂弟子靈辨不レ覺 |
Z14_0401B05: | 號哭。師訶レ之曰。惡魔出去。衆聖相迎。方論二受生處一。何 |
Z14_0401B06: | 驚レ吾耶。又智者大師曰。人命將レ終。鐘磬聲聞。增二其正 |
Z14_0401B07: | 念一。乃至世間哭泣。喪服不レ應レ爲と。かゝることは忘れ |
Z14_0401B08: | は致されまじ。たゞ愚俗を誑惑せんが爲なるべし。別 |
Z14_0401B09: | 離戀執の涙をこぼしても苦しからぬとは存じの外の |
Z14_0401B10: | 邪說。佛法曠大なれども。かゝる勸めはあるまじきな |
Z14_0401B11: | り。引喩臭惡。一笑に堪へたり。他すでに辨じ了る。吾 |
Z14_0401B12: | れ亦何をかいはん。 |
Z14_0401B13: | 問。往生極樂を求めて。念佛を務むる人は。佛敎の |
Z14_0401B14: | 大意をよく〱知りたるにてなければ。安心決定 |
Z14_0401B15: | せぬなりと云へるは。いかなることにや。 |
Z14_0401B16: | 答。さればこそ。卽心念佛は今日の具縛の凡夫の務め |
Z14_0401B17: | られぬ時機不相應の法なり。天下幾何の人ぞ。其中に |