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Z1480 即心念仏浄土問弁 知空 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0401A01:  ば。後に留まる人が涙をこぼすべし。それを見たら
Z14_0401A02:  ば。往生する人も涙を浮むべし。事の念佛の人が見
Z14_0401A03:  たらば。あれ見よ平生死ぬるの生るのと云ふこと
Z14_0401A04:  は無と云ふこと。卽心念佛申すも。眞の時は涙をこ
Z14_0401A05:  ぼすと笑ふべし。此笑尤もなるようにて。聞へぬこ
Z14_0401A06:  となりと云ふて。世間の婚禮を喩へに出されたる
Z14_0401A07:  は。さることもあるにや。
Z14_0401A08: 答。笑ふなと制せらるれども。ふき出さねばならぬ妄
Z14_0401A09: 談なり。前に現前具縛の凡夫に。不相應の卽心念佛を
Z14_0401A10: 勸められ。生死に沒在せる衆生に。生死に於て大自在
Z14_0401A11: なり。大安樂なりと。匹夫に王位を與ふ樣なる過分の
Z14_0401A12: 證悟を無理に說き與へられ。此の義を立てんと思ふ
Z14_0401A13: より。自害になることをも打忘れたる通妨の云ひ紛
Z14_0401A14: らかしなり。所謂跋前踏後なるべし。夫生死は人の
Z14_0401A15: 一大事なり。佛法を學ぶ者。一刻も忘る可き事に非
Z14_0401A16: ず。世敎にもいはずや。死生亦大なりと。殊に臨終の
Z14_0401A17: 一念は無量劫を引く故に。佛祖叮嚀に遺訓し玉へり。
Z14_0401B01: 諸文勞しく引に及ばす。天台宗になりたる甲斐ある
Z14_0401B02: 僧と。自ら思ひきはめられたれば。隨分祖師を學び。
Z14_0401B03: 人にも敎えらるべきことなるに。祖師と大にたがえ
Z14_0401B04: るは何事ぞや。南岳の思大師。將寂弟子靈辨不
Z14_0401B05: 號哭。師訶之曰。惡魔出去。衆聖相迎。方論受生處。何
Z14_0401B06: 吾耶。又智者大師曰。人命將終。鐘磬聲聞。增其正
Z14_0401B07: 。乃至世間哭泣。喪服不爲と。かゝることは忘れ
Z14_0401B08: は致されまじ。たゞ愚俗を誑惑せんが爲なるべし。別
Z14_0401B09: 離戀執の涙をこぼしても苦しからぬとは存じの外の
Z14_0401B10: 邪說。佛法曠大なれども。かゝる勸めはあるまじきな
Z14_0401B11: り。引喩臭惡。一笑に堪へたり。他すでに辨じ了る。吾
Z14_0401B12: れ亦何をかいはん。
Z14_0401B13:  問。往生極樂を求めて。念佛を務むる人は。佛敎の
Z14_0401B14:  大意をよく〱知りたるにてなければ。安心決定
Z14_0401B15:  せぬなりと云へるは。いかなることにや。
Z14_0401B16: 答。さればこそ。卽心念佛は今日の具縛の凡夫の務め
Z14_0401B17: られぬ時機不相應の法なり。天下幾何の人ぞ。其中に

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