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Z1360 即心念仏安心決定談義本 霊空 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
Z14_0016A01: に不去となり。去と云は。此上に死して。彼土にゆき
Z14_0016A02: 去ことなり。此土に死して。西方に往き去ることは。
Z14_0016A03: 實にはなしと云ば。生ずることも。決定して生ずれど
Z14_0016A04: も。實には生ぜぬなり。此卽決定往生が。卽不生不滅
Z14_0016A05: なり。譬の意は。鴈が空をとべば。影が水に浮ぶ。影は
Z14_0016A06: 浮べども。水に心なく。鴈にも心なきなり。鴈の影の
Z14_0016A07: 水にうつるは。極樂往生なり。鴈に心なく。水に心な
Z14_0016A08: きは。往生卽ち無生なり。如此の道理。一度聞て合點
Z14_0016A09: ゆかずとも。度々聞たらば。後には合點ゆくべし。斷
Z14_0016A10: へず修行したらば。無生の道理自然に朗らかになり
Z14_0016A11: て。上品上生の往生も。とぐべきものなり。然るに又。
Z14_0016A12: 卽心念佛の人にても。正しく往生の期に至らば。跡に
Z14_0016A13: 留まる人が。涙をこぼすべし。其を見たらば。往生す
Z14_0016A14: る人も。涙を浮むべし。事の念佛の人が。見たらば。あ
Z14_0016A15: れを見よ。平生死ぬるの。いきるのと云ことはないと
Z14_0016A16: 云。卽心念佛申しも。まことのときは。涙をこぼすと。
Z14_0016A17: 笑ふべし。此笑ひ。尤もなるやうにて。聞へぬことな
Z14_0016B01: り。譬へば。御公家の御歷々が。姫君を歷々の大名へ
Z14_0016B02: 遣さるゝには。先づ云ひ入があれば。其姫君や。御兩
Z14_0016B03: 親は勿論。御家賴や。御親類衆まで。さても目出度。結
Z14_0016B04: 構なる御事。御影にて我等まで浮むべしと。大いに喜
Z14_0016B05: ぶはづなり。其喜び。物などもらうに付て。次第に段
Z14_0016B06: 々と。深くなるはづなり。喜びの止ことは。あるべか
Z14_0016B07: らず。然れども。諸事調ひ。時至りて。正しく江戶へ。
Z14_0016B08: 御下りなさるゝは。今日なりと云ときは。なごりをを
Z14_0016B09: しみて。人々皆涙をこぼし。袖をしぼるべし。何ほど。
Z14_0016B10: 涙をこぼしても。最前の喜びは。心の底にあつて。少
Z14_0016B11: しもかわるまじ。卽心念佛の人も。亦如此死ぬる生
Z14_0016B12: ると思はず。極樂へ。遊びにゆくと云合點なれども。
Z14_0016B13: 正しくふみだす段になりては。暫時の別れに。涙をこ
Z14_0016B14: ぼすべし。御笑ひやるな。
Z14_0016B15:    末世の要行は卽心念佛なる事
Z14_0016B16: 總じて先。往生極樂を求めて。念佛を務むる人は。佛
Z14_0016B17: 敎の大意を。よく〱知たるにてなければ。安心決定

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