浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z14_0016A01: | に不レ去となり。去と云は。此上に死して。彼土にゆき |
Z14_0016A02: | 去ことなり。此土に死して。西方に往き去ることは。 |
Z14_0016A03: | 實にはなしと云ば。生ずることも。決定して生ずれど |
Z14_0016A04: | も。實には生ぜぬなり。此卽決定往生が。卽不生不滅 |
Z14_0016A05: | なり。譬の意は。鴈が空をとべば。影が水に浮ぶ。影は |
Z14_0016A06: | 浮べども。水に心なく。鴈にも心なきなり。鴈の影の |
Z14_0016A07: | 水にうつるは。極樂往生なり。鴈に心なく。水に心な |
Z14_0016A08: | きは。往生卽ち無生なり。如レ此の道理。一度聞て合點 |
Z14_0016A09: | ゆかずとも。度々聞たらば。後には合點ゆくべし。斷 |
Z14_0016A10: | へず修行したらば。無生の道理自然に朗らかになり |
Z14_0016A11: | て。上品上生の往生も。とぐべきものなり。然るに又。 |
Z14_0016A12: | 卽心念佛の人にても。正しく往生の期に至らば。跡に |
Z14_0016A13: | 留まる人が。涙をこぼすべし。其を見たらば。往生す |
Z14_0016A14: | る人も。涙を浮むべし。事の念佛の人が。見たらば。あ |
Z14_0016A15: | れを見よ。平生死ぬるの。いきるのと云ことはないと |
Z14_0016A16: | 云。卽心念佛申しも。まことのときは。涙をこぼすと。 |
Z14_0016A17: | 笑ふべし。此笑ひ。尤もなるやうにて。聞へぬことな |
Z14_0016B01: | り。譬へば。御公家の御歷々が。姫君を歷々の大名へ |
Z14_0016B02: | 遣さるゝには。先づ云ひ入があれば。其姫君や。御兩 |
Z14_0016B03: | 親は勿論。御家賴や。御親類衆まで。さても目出度。結 |
Z14_0016B04: | 構なる御事。御影にて我等まで浮むべしと。大いに喜 |
Z14_0016B05: | ぶはづなり。其喜び。物などもらうに付て。次第に段 |
Z14_0016B06: | 々と。深くなるはづなり。喜びの止ことは。あるべか |
Z14_0016B07: | らず。然れども。諸事調ひ。時至りて。正しく江戶へ。 |
Z14_0016B08: | 御下りなさるゝは。今日なりと云ときは。なごりをを |
Z14_0016B09: | しみて。人々皆涙をこぼし。袖をしぼるべし。何ほど。 |
Z14_0016B10: | 涙をこぼしても。最前の喜びは。心の底にあつて。少 |
Z14_0016B11: | しもかわるまじ。卽心念佛の人も。亦如レ此死ぬる生 |
Z14_0016B12: | ると思はず。極樂へ。遊びにゆくと云合點なれども。 |
Z14_0016B13: | 正しくふみだす段になりては。暫時の別れに。涙をこ |
Z14_0016B14: | ぼすべし。御笑ひやるな。 |
Z14_0016B15: | 末世の要行は卽心念佛なる事 |
Z14_0016B16: | 總じて先。往生極樂を求めて。念佛を務むる人は。佛 |
Z14_0016B17: | 敎の大意を。よく〱知たるにてなければ。安心決定 |