浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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Z14_0014A01: | 大乘の事の行にてあるなり。去れども見解は。小乘三 |
Z14_0014A02: | 藏なり。𣵀槃經に。四敎の意を。四句と說せ玉ひたり。 |
Z14_0014A03: | 生生不可說。生不生不可說。不生生不可說。不生不生 |
Z14_0014A04: | 不可說なり。生々は。三藏敎なり。極樂へ生じ生ずと |
Z14_0014A05: | 思ふは。小乘の見解にあらずや。卽心念佛の人は。此 |
Z14_0014A06: | 界にて。念佛申す時。はや生の見を離るゝゆへ。遙に |
Z14_0014A07: | 勝れて。目出度修行なり。去ども。不生不滅の無生の |
Z14_0014A08: | 理は。上根利智の人は。合點ゆくべけれども。學問も |
Z14_0014A09: | せぬ。愚かなる人は。いかでか合點ゆくべき。用にも |
Z14_0014A10: | 立ぬことなりと。思ふ人あるべけれども。左樣にては |
Z14_0014A11: | なし。無生の理を。深く明らむることこそ。なり難き |
Z14_0014A12: | ことなれども。無生のきみあひを。大樣合點すること |
Z14_0014A13: | は。なるまじきことにあらず。合點すれば。相應の利 |
Z14_0014A14: | 益あることなり。昔しの人の云るは。往生を求むる人 |
Z14_0014A15: | は。死ぬると思ふべからず。只生ると思ふべしと。示 |
Z14_0014A16: | せり。此よき示しなり。深き道理にも。相叶へり。死ぬ |
Z14_0014A17: | ると思へば。物がなしく。心ぼそし。生るゝと思へば。 |
Z14_0014B01: | 面白く。末たのもし。此ことは。いかなる愚かなる人 |
Z14_0014B02: | も。合點し易きことにあらずや。然るに。死ぬればこ |
Z14_0014B03: | そ。生るゝと云ことあれ。死なねば。生るゝと云こと |
Z14_0014B04: | はなきなり。死ぬとは思はずして。生るゝと思ふなれ |
Z14_0014B05: | ば。實には生れもせぬなり。よく合點すべし。極樂往 |
Z14_0014B06: | 生は。別のことはなひ。遠き處に。遊びに往と思ふべ |
Z14_0014B07: | し。都の人が。吉野。初瀨の花を見に往。須磨。明石へ。 |
Z14_0014B08: | 月を見に往は。宿〓出るを。死ぬと思はず。彼地へ往 |
Z14_0014B09: | を。生ると思はぬゆへ。只月を見。花を見んと。心面白 |
Z14_0014B10: | く思ひ。いさみすゝんで。遠き處なれども。ゆくなり。 |
Z14_0014B11: | 卽心念佛の人。臨終の時。死ぬると思はず。只八功德 |
Z14_0014B12: | 水の月を見。七重行樹の花見に往く心なれば。大安樂 |
Z14_0014B13: | 大快樂の往生なり。此心になりきはまりたるが。眞實 |
Z14_0014B14: | の念佛申しなり。何とぞかやうに。安心決定するやう |
Z14_0014B15: | にすべし。若人ありて。何の爲に念佛申すぞと問ば。 |
Z14_0014B16: | 八功德水の月見の爲。七重行樹の花見の爲と。答ふべ |
Z14_0014B17: | し。それはこなた。死にて後のことにてはなしやと問 |