浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J18_0242A01: | ぞと。千萬年文殊の智惠をもて考るとも。更にその |
J18_0242A02: | 道理合點ゆくまじ。石と念佛鐵と本願打合せさへすれば |
J18_0242A03: | 火が出る往生ものと。疑ひあやしまぬが安心決定法爾の |
J18_0242A04: | 道理をしるといふべし。されば今彌陀の本願は。稱 |
J18_0242A05: | 名をもて本願としたまへば。只南無阿彌陀佛と申せ |
J18_0242A06: | ば。決定して往生せらるるぞと信ずるが第一よきな |
J18_0242A07: | り。これ本願自然の道理なるを。いかなるゆゑあり |
J18_0242A08: | て往生するやらんと、千萬年を經て考へ百千の不審 |
J18_0242A09: | をひらき。八萬の法門を明らむるともしるべから |
J18_0242A10: | ず。凡夫の報土往生することは。三賢十地の菩薩す |
J18_0242A11: | ら。なほはかりがたしとのたまへり。いはんやわれ |
J18_0242A12: | らごときの所知に及んや。ただ佛智不思議の妙願力 |
J18_0242A13: | なれば。往生するはづと合點するまでのことなり。 |
J18_0242A14: | 本願不思議の道理なれば。ただ南無阿彌陀佛と申せ |
J18_0242A15: | ば。極樂にゆくぞと思ひとりて。疑ひあやしまぬが |
J18_0242A16: | 本願に乘するとは申なり。正定之業と釋したまへ |
J18_0242A17: | ば。念佛者の極樂に往生せんことは。まさしき定業 |
J18_0242B18: | としるべし。鐵をもて木を打に火出ず。石をもて木 |
J18_0242B19: | を打に火いです。金銀をもて石を打に火いです。た |
J18_0242B20: | だ石と鐵となればよく火の出るなり。兎角われらご |
J18_0242B21: | ときの不斷煩惱の石は妄念中に唱る念佛本願の南〓鐵にあらざ |
J18_0242B22: | れば。法性無生の火は報土往生出ぬなり。三歳の小兒と |
J18_0242B23: | いへども。石と鐵と打さへすれば。火の出るやう |
J18_0242B24: | に。いかなる愚鈍無智といへども。南無阿彌陀佛と |
J18_0242B25: | だに唱ふれば。決定して往生するなり。本願に相應 |
J18_0242B26: | せぬ。金銀瑠璃をもちかけて。火をとらんと勞する |
J18_0242B27: | ことなかれ。兎角石と鐵とにて火の出るが。自然不 |
J18_0242B28: | 思議の道理なり。物の道理不可思議に妙なること |
J18_0242B29: | を。これはいかなるゆゑぞと。強て思議するを強思 |
J18_0242B30: | 議の難とて。狂人の一分にて迷の根元なり。なにご |
J18_0242B31: | とにも法爾の道理。不思議奇妙といふことのあるも |
J18_0242B32: | のぞと。そのことことに合點して。疑ひあやしまぬ |
J18_0242B33: | を。決定心のある人といふべし乃至この本願名號は時 |
J18_0242B34: | も處もえらびなく。身のけがれ心のみだるるもさら |