浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J17_0670A01: | 時の人貪愛の欲にほだされたがひに爭ひ戰ひ或は他 |
J17_0670A02: | にこびへつらひいつはりをなしあしき敎を信しみつ |
J17_0670A03: | から惱亂せるは是煩惱濁なり往古は人の壽命もなが |
J17_0670A04: | かりしに末世當今は百歳にみてるものまれに成はつ |
J17_0670A05: | るは皆殺生等の惡業多きか故次第に壽を減すすなは |
J17_0670A06: | ち今五五百歳の第五の五百年のすえにて世間出世鬪 |
J17_0670A07: | 諍堅固の世の中なりしゆへ念佛の一行をのぞきて生 |
J17_0670A08: | 死を出離すへき道なく彼聖道の敎もみな釋尊の敎な |
J17_0670A09: | りしかと佛のみのりに種種ありし事は衆生一ならさ |
J17_0670A10: | るかゆへ也機と法と相應せさるときは利益なし聖道 |
J17_0670A11: | の敎は正像の機には相應すといへとも末法の機には |
J17_0670A12: | 相應せすたとへは帝王の宣旨に東國へ下と西國へ下 |
J17_0670A13: | との二通あるとき西の宣旨を東へ遣し東の宣旨を西 |
J17_0670A14: | へをくるかことくともに天子の宣旨なれとも皆無益と |
J17_0670A15: | なるかことく西の宣旨は西にゆき東の宣旨は東にゆく |
J17_0670A16: | 時は相應してその趣辨する事すみやかなり稱名念佛 |
J17_0670A17: | の一行よく時にかなひ機に應する事彼宣旨の違はさ |
J17_0670B18: | るが如くしかあれは時機相應の他力本願に乘しぬれ |
J17_0670B19: | は別に學問も道理も要にあらす更に身の淨不淨を撰 |
J17_0670B20: | はす時處所縁を問はすたた一筋に敎にまかせて唱る |
J17_0670B21: | 外に別の子細なしこれによりて目連所問經に佛説て |
J17_0670B22: | 宣はく世間高貴富樂自在の者ありといへとも生老病 |
J17_0670B23: | 死を免かるる事を得す譬ば百川に浮へる草芥の前は |
J17_0670B24: | あとをかえりみす後はさきをかへりみすすべて大海 |
J17_0670B25: | におもむくがごとし我説無量壽佛國は修しやすく取 |
J17_0670B26: | やすしとまた龍樹菩薩は十住論に易行道は但信佛の |
J17_0670B27: | 因縁を以て願生すれは佛願力に乘して便ち淸淨土に |
J17_0670B28: | 生する事を得ると又嘉祥大師は十念成就すれは即往 |
J17_0670B29: | 生を得ると故に是を易行易修の法といふ機法相應す |
J17_0670B30: | る時は利益むなしからす必す淨土に願生し玉へとあ |
J17_0670B31: | りけれは將軍能能領納ましまし生來かかる有かたき |
J17_0670B32: | 御法に逢事なかりき畢命を期として念佛を行せんと |
J17_0670B33: | 安心决定の體に見えさせ給ひけれは上人又宣はく大 |
J17_0670B34: | 經には雖一世勤苦須臾之間後生無量壽佛國と仰られ |