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経蔵

提供: 新纂浄土宗大辞典

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きょうぞう/経蔵

仏陀の教説の要義である経の部類に属するもの。仏の説いた経を総括していう。三蔵の一つ。一切経を安置収蔵する建物。経庫・経楼・経蔵閣や蔵経閣ともいう。中国では、北周や隋の時代にすでに一切経経蔵に納められていた。北宋時代になると宋版大蔵経の出現とともに多くの経蔵が建立された。また、経蔵の内部に転輪蔵輪蔵と呼ばれる回転式の書棚が設置された。本来は一切経を収蔵して披読ひどくするために造られたものであったが、輪蔵は文字を知らない者でも一切経を納めたそれを回すことによって、受持読誦と同じ功徳があるという意味が付加された。日本では、仏法僧三宝物を入れる倉庫が分立して、仏具類を入れる宝蔵、僧宝物を入れる雑蔵、そして経律論章疏などの法宝物を収蔵するのが経蔵であった。唐招提寺に奈良時代創建当初の宝蔵と経蔵(共に国宝)が、法隆寺には天平時代の遺構である経蔵(国宝)がそれぞれ現存している。平安時代にも経蔵がよく建立されていたようだが、現存するのは平泉中尊寺経蔵(国重要文化財)のみである。鎌倉時代には、宋版大蔵経と共に禅宗様の建築様式が伝来し、その様式の経蔵が多く建立された。代表的なものに岐阜県飛驒安国寺の唐様式の経蔵(国宝)がある。知恩院経蔵(国重要文化財)は唐様と和様を取り入れた様式で、江戸時代に建立された。


【参考】大蔵会編『大蔵経—成立と変遷—』(百華苑、一九六四)、椎名宏雄『宋元版禅籍の研究』(大東出版社、一九九三)


【参照項目】➡三蔵輪蔵


【執筆者:馬場久幸】