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竹中信常

提供: 新纂浄土宗大辞典

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たけなかしんじょう/竹中信常

大正二年(一九一三)八月一二日—平成四年(一九九二)六月一一日。瑞蓮社碩誉悠阿。宗教学者。宗門功労者。専門は宗教心理学宗教儀礼の研究。大正大学名誉教授。東京浅草に、竹中門戒・ツネの四男として生まれる。昭和一一年(一九三六)大正大学宗教学科を卒業。翌年同研究室副手(同一七年五月まで)。同一六年一二月、上大崎隆崇院住職を拝命。同三〇年大正大学教授に就任。同三五年『比較宗教学よりみたる儀礼の理論と様態』により文学博士大正大学)。同三八年浄土宗教学院理事に就任。同四二年『宗教心理の研究』『日本人の仏教』その他の著作により第二回浄土宗学術奨励賞を受賞。また同年から四年間にわたって、東京大学の非常勤講師。同五三年には大正大学浄土宗学監浄土宗奨学会理事、浄土宗開教振興協会理事に就任、その後も大正大学宗教学研究室主任、日本宗教学会常務理事等各界の重職を歴任。同五九年三月に大正大学を定年退職するも、平成三年(一九九一)まで佛教大学の教授職を務めた。昭和六〇年(一九八五)勲三等瑞宝章叙勲。竹中信常の業績は多方面にわたり、著作も数多い。研究業績としては、宗教現象のなかでも宗教儀礼、タブーに関する資料文献を渉猟し、宗教心理学宗教民族学的なアプローチから分析した研究は他に類書を見ない優れたものである。『宗教心理の研究』(青山書院、一九五七)、『宗教儀礼の研究』(博士論文、青山書院、一九六〇)、『タブーの研究』(山喜房仏書林、一九七七)はその精華といえよう。また欧米の宗教学の理論研究から脱皮して、仏教なかでも浄土教を中心にした日本独自の宗教学を目指していたことは、『仏教—心理と儀礼—』(山喜房仏書林、一九七九)、『仏教への問いかけ』(同、一九八四)、『宗教的体験と人格』(同、一九八六)に明らかである。さらに戦後日本の新宗教の台頭にも関心を寄せ、昭和四二年(一九六七)の『創価学会—その性格と活動—』(労働法学出版)など創価学会を中心に、新宗教の特徴や問題点などを宗教学的に分析した。最大の功績は、平成元年(一九八九)の浄土宗総合研究所の設立である。それまでの教学・布教法式研究所の三研究所体制を一本化し、現代社会の諸問題に総合的に応えることができる研究所体制をいち早く構築し、初代所長に就任した。これは、多くの他宗教教団付置研究所の先駆けとなっている。世寿七八歳。


【参照項目】➡浄土宗総合研究所


【執筆者:武田道生】