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甲念仏

提供: 新纂浄土宗大辞典

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こうねんぶつ/甲念仏

引声いんぜい阿弥陀経で唱えられる念仏曲。「南無阿弥陀仏 阿弥陀仏 阿弥陀仏」を「ナモアビタフ アビタフ アビタフ」と唱える。天台宗で引声作法を修するときに唱えられる曲で、乙念仏に対して甲念仏と言われる。乙念仏浄土宗では伝承されていない。甲念仏には呂律二様があり、現在、知恩院では兼実忌の引声阿弥陀経法要において経段の前後に唱えられ、呂様(呂曲・盤渉調ばんしきちょう)は経段の前、律様(律曲・平調ひょうじょう)は経段の後で唱えられる。それぞれの旋律には呂律の特色がみられて味わいのある曲である。江戸時代の記録から、春秋の彼岸会に修されていた如法念仏作法にも唱えられていたことが知られている。


【資料】『浄土宗声明集』(知恩院、二〇一〇)


【参照項目】➡引声阿弥陀経


【執筆者:大澤亮我】


大本山光明寺に伝えられている引声阿弥陀経法要の中、「四奉請」の後『阿弥陀経読誦の前後に前伽陀後伽陀として用いられる念仏のこと。「かんねんぶつ」ともいう。「南無阿弥陀仏」を「ンナンモアビイイタウワアフウ」と発声して唱え、その後に「阿弥陀仏 阿弥陀仏」と続ける。引声法要独特の「シャックリ押」という唱法が用いられるのが特徴である。この押は、声明の押よりも、もっと強くアクセントをつけて語気を強く発する唱法である。前伽陀後伽陀はほぼ同型であるが、後伽陀には「阿」の博士の末尾にはね上げ、「弥」「仏」等に三つ押があるのが特徴である。増上寺にも吉水大信より近年「引声阿弥陀経法要」が伝承されているが、甲念仏前伽陀としてのみ唱えられ、後伽陀は用いられていない。


【参考】『漢音引声阿弥陀経 譜附 全』(大正五年〔一九一六〕)


【参照項目】➡引声阿弥陀経


【執筆者:廣本榮康】