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法水分流記

提供: 新纂浄土宗大辞典

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ほっすいぶんるき/法水分流記

一巻。「ほうすいぶんりゅうき」ともいう。法然門下諸流の系譜。西山流深草派の静見了日撰述。内題の記載から永和四年(一三七八)の成立であるが、現在伝わる写本には明らかに加筆の部分が認められ、原著形態とは異なる。法然門下系譜中最古のものとされるが、三年早く永和元年(一三七五)に成立していた尭恵勘録の『吉水法流記』に依拠して、静見が整理統合増補して編集したとの説もある。『吉水法流記』が西山流深草派の系譜を中心とするのに対し、『法水分流記』も西山流の僧数が最も多く、西山流中心の系譜であることは否めないが、各流派祖の配列順序が法然滅時の年臈に基づくなど一派に偏らず、在家の弟子や門下以外の浄土教帰依者までも掲げており、法然門下全体を客観的にまとめようとする意図がうかがえる。


【所収】野村恒道・福田行慈編『法然教団系譜選』(青史出版、二〇〇四)


【参考】野村恒道・福田行慈・中野正明「日本浄土教諸系譜の研究」(『仏教文化研究』三〇、一九八五)、牧哲義「法然門下の初期の系譜資料—『吉水法流記』と『法水分流記』について—」(『東洋学研究』三一、一九九四)


【執筆者:福田行慈】