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有頂天

提供: 新纂浄土宗大辞典

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うちょうてん/有頂天

三界における生存の最上位である無色界にある四つの位のうちの最上位。ⓈbhavāgraⓅbhavaggaⓉsrid pa’i rtse mo。五趣(五道)あるいは六道のうちでは天に属するのでこの名がある。非想非非想処に同じ。ここに生まれた天は肉体をもたず、想念は朦朧としている。三昧に入ってこの境地を得た修行者は、肉体や物質を有する感覚がなく、明瞭な想念が働かない。釈尊の第二の師匠であるウッダカ・ラーマプッタ(ⓅUddaka-Rāmaputta)はこの精神統一の達人であった。他方、『法華経法師功徳品では、色界の最上位にある阿迦尼吒あかにた天すなわち色究竟しきくきょう天(Ⓢakaniṣṭha)を「有頂」という。日本では俗に、ものごとに心を集中させて他を省みないことや、気分が高揚する意味となった。


【参考】山口益・舟橋一哉『俱舎論の原典解明 世間品』(法蔵館、一九五五)、定方晟『須弥山と極楽』(講談社、一九七三)、櫻部建他『俱舎論の原典研究 智品・定品』(大蔵出版、二〇〇四)


【参照項目】➡三界


【執筆者:本庄良文】