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女人往生願

提供: 新纂浄土宗大辞典

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にょにんおうじょうがん/女人往生願

無量寿経』に説く、阿弥陀仏四十八願中第三十五願の願名。道光無量寿経鈔』による。義寂は「令離穢形願」(『無量寿経述義記』中、恵谷隆戒浄土教の新研究』四二三)、智光良源は「聞名発心転女成男願」(『無量寿経論釈』三、恵谷隆戒『同』四七七/『九品往生義』浄全一五・二〇)と呼ぶ。成仏したなら、あらゆる世界にいる女性が、自分(阿弥陀仏)の名号を聞いて歓喜信楽して菩提心を発し、女性の姿であることを厭う場合、命終の後、再び女性の姿とならないようにしたい、という願。道光無量寿経鈔』では「女人往生願」の願名が用いられるが、内容上は女性の往生を特別に誓ったものではない。この点について法然は、「上の念仏往生の願は男女を嫌わず来迎引接も男女に亘る、繫念定生けねんじょうしょうの願も又然なり。今別にこの願あり、その心云何。つらつらこの事を案ずるに、女人は障り重くして明に女人に約せずば、すなわち疑心を生ぜん。その由は、女人は過多く障り深して、一切の処に嫌われたり。…何に況や往生をやと。これを疑うべき故に別して女人往生の願を発す」(『無量寿経釈』昭法全七五〜六)と述べ、念仏往生願によって男女問わず等しく往生するにもかかわらず、女人障重説をうけて自身が女性であることを理由としてその往生を疑うことを防ぐために誓われた願であるとする。また、女像とならない、ということについて、対応する『大阿弥陀経』第二願と『無量寿荘厳経』第二十七願では、往生後に男性となること(転女成男)と明示する。この他、梵本と『無量寿如来会』のそれぞれ第三十五願、チベット訳の第三十六願が対応する。『平等覚経』には対応する願がない。


【資料】道光『無量寿経鈔』四、義山『無量寿経随聞講録』上之三


【参考】香川孝雄『無量寿経の諸本対照研究』(永田文昌堂、一九八四)


【参照項目】➡四十八願女人往生転女成男


【執筆者:齊藤舜健】