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回峰

提供: 新纂浄土宗大辞典

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かいほう/回峰

峰を回り行う修行のこと。回峰行ともいう。特に天台宗山門派の行者比叡山の東塔、西塔、横川よかわの三塔・九院・山王七社や山内霊地など約二六〇箇所を巡拝する千日回峰行が有名である。これは不動明王本尊として、不動明王真言を誦しながら巡拝し、七年かけて千日の行を完了する。五百日の行を修了して下根満げこんまん、七百日の行を修了して中根満ちゅうこんまんと呼ばれる。このころ、無動寺明王堂に参籠し、九日間断食・断水・断眠・不臥の行がおこなわれ、これを修了した者を行満と呼ぶ。その後、八百日まで比叡山と赤山明神をめぐり、九百日まで京都の仏閣を巡拝し、千日まで再び比叡山を山上山下し、大行だいぎょうまんに達する。本行は、比叡山無動寺谷を開いた相応そうおう(八三一—九一八)が創始し、遍斅へんこう(九〇三—九七七)が組織づけたといわれている。創始当時は参籠が中心であったが、次第に三塔巡拝を中心とするものとなり、鎌倉末期から南北朝期にかけて現行のような比叡山の各所を巡拝するものに変化していった。


【参考】星宮智光「比叡山回峰行の成立とその形態」(『東北印度学宗教学会論集』二、一九六九)、小寺文頴「比叡山回峰行の史的展開」(日仏年報四五、一九八〇)


【執筆者:齋藤知明】