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=こうやひじり／高野聖=
全国を[[遊行]]し、唱道・[[勧進]]・[[納骨]]などを行った[[高野山]]の聖。その起源は、正暦年間（九九〇—九九四）に起こった大火などによって荒廃した[[高野山]]の復興を企図し、[[勧進]]事業を行った<ruby>定誉<rt>じょうよ</rt></ruby>に求められる。延久末年（一〇七三頃）、[[密教]]と[[念仏]]を兼修した教懐が[[高野山]]に入山、[[高野聖]][[教団]]を結成した。永久二年（一一一四）には<ruby>[[覚鑁]]<rt>かくばん</rt></ruby>が[[高野山]]に入り、自ら[[勧進]]僧の指導的地位に就くと共に、『[[五輪]][[九字]]明[[秘密]]釈』を著して[[真言念仏]]の理論的根拠を[[高野聖]]らに提供した（初期[[高野聖]]）。一二世紀末、[[重源]]や[[明遍]]が[[高野山]]に入山すると、[[高野聖]]は[[専修念仏]]的性格を強める一方、京都や[[四天王]]寺、[[善光寺]]などの[[念仏]]集団との盛んな交流によって[[勧進]]圏を大幅に拡大し、山内において学侶方・行人方に匹敵する勢力を有する（中期[[高野聖]]）。のち、座禅・[[念仏]]・[[密教]]の一致を主張した[[臨済宗]]の心地[[覚心]]の影響を受けた<ruby>萱堂聖<rt>かやどうひじり</rt></ruby>や、[[時宗]]化した<ruby>千手院谷聖<rt>せんじゅいんだにひじり</rt></ruby>が登場する（後期[[高野聖]]）。以後、[[高野聖]]は半僧半俗の集団として俗悪化、<ruby>宿借<rt>やどかり</rt></ruby>聖や<ruby>夜道怪<rt>やどかい</rt></ruby>と呼ばれ、南北朝時代の[[真言宗]]への帰入の強制を皮切りに、江戸時代に至るまで為政者による弾圧の対象となる。また、呉服の行商に転じ、<ruby>商<rt>あきない</rt></ruby>聖・呉服聖・<ruby>衣<rt>きぬ</rt></ruby>聖と呼ばれる者も現れた。
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【参考】五来重『増補　高野聖（角川選書）』（角川書店、一九七五）
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【参照項目】➡[[高野の真別所]]、[[聖]]
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【執筆者：冨樫進】