関東十八檀林のソースを表示

=かんとうじゅうはちだんりん／関東十八檀林=
江戸時代、[[浄土宗]]の[[僧侶]]養成を担った、関東地方にあった一八箇寺。古くは談所、[[談義所]]、談林ともいった。

[[十八檀林]]の成立は、江戸幕府の[[寺院]]統制策であり、地理的に宗内を統一する必要に迫られて設立された場合と、伝統をもつ古刹が、従来の習慣を重んじてそのまま[[檀林]]に移行していった場合がある。[[檀林]]の学問は[[学寮]]で行われ、[[学寮]]には学[[寮主]]がいて寮生を統一すると同時に教育に当たった。[[檀林]]在籍中に学ぶ学課を[[檀林課目]]といい、九つに分けられていた。それは名目・[[頌義]]・[[選択]]・小玄義・[[大玄]]義・<ruby>文句<rt>もんぐ</rt></ruby>・[[礼讃]]・論・無部である。この各部は三年ごとに上部にあがるため、二五年目に無部に入るのが普通。寮生は毎月[[宗学]]の講義を受け、余暇には好きな学問を自由に学べたが、このほか[[檀林]]には四月一五日から六月二九日に至る<ruby>[[夏安居]]<rt>げあんご</rt></ruby>と一〇月一五日から一二月一五日に至る<ruby>冬[[安居]]<rt>とうあんご</rt></ruby>の二つがあり、平常の学課と重複する場合もあるが、この両[[安居]]中は特別の学期で、必ず出席しなければならなかった。このようにして勉学した僧は、[[法問]]と講釈によって試験・評価され、実力を認められるようになった。こうして学問所としての[[檀林]]は、やがて政治的な行政面をも担うようになっていった。さらに[[檀林]]には[[紫衣檀林]]と[[香衣檀林]]、[[江戸檀林]]と[[田舎檀林]]などの区別ができた。[[関東十八檀林]]は[[白旗派]]の[[寺院]]で構成されており、このほかに[[名越派]]の大沢[[円通寺]]（栃木県）と山崎[[専称寺]]（福島県）があった。
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|+ [[関東十八檀林]]（開山年順）

! style="text-align: center; background-color: gray;" | 寺名
! style="text-align: center; background-color: gray;" | [[開山]]
! style="text-align: center; background-color: gray;" | [[開山]]年
|-
|鎌倉[[光明寺]]
|[[然阿]][[良忠]]
|寛元元（一二四三）
|-
|[[鴻巣]][[勝願寺]]
|[[然阿]][[良忠]]
|建長四（一二五二）
|-
|<ruby>[[瓜連]]<rt>うりづら</rt></ruby>[[常福寺]]
|成阿[[了実]]
|延文三（一三五八）
|-
|芝[[増上寺]]
|酉誉[[聖聡]]
|明徳四（一三九三）
|-
|[[飯沼]][[弘経寺]]
|歎誉[[良肇]]
|応永二一（一四一四）
|-
|[[小金]][[東漸寺]]
|経誉[[愚底]]
|文明一三（一四八一）
|-
|<ruby>[[生実]]<rt>おゆみ</rt></ruby>[[大巌寺]]
|道誉[[貞把]]
|天文二二（一五五三）
|-
|川越[[蓮馨寺]]
|感誉[[存貞]]
|永禄元（一五五八）
|-
|滝山[[大善寺]]
|讃誉[[牛秀]]
|天正一三（一五八五）
|-
|[[岩槻]][[浄国寺]]
|総誉[[清巌]]
|天正一五（一五八七）
|-
|[[江戸崎]][[大念寺]]
|源誉[[慶巌]]
|天正一八（一五九〇）
|-
|館林[[善導寺]]
|智誉[[幡随意]]
|天正一八（一五九〇）
|-
|結城[[弘経寺]]
|檀誉[[存把]]
|文禄四（一五九五）
|-
|本所[[霊山寺]]
|専誉[[大超]]
|慶長六（一六〇一）
|-
|下谷[[幡随院]]
|智誉[[幡随意]]
|慶長八（一六〇三）
|-
|[[小石川]][[伝通院]]
|正誉[[廓山]]
|慶長一三（一六〇八）
|-
|太田[[大光院]]
|[[然誉]][[吞龍]]
|慶長一八（一六一三）
|-
|深川[[霊巌寺]]
|雄誉[[霊巌]]
|寛永元（一六二四）
|}

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【参考】大島泰信『浄土宗史』（浄全二〇）、宇高良哲「浄土宗関東十八檀林の確立」（『日本仏教』三六、一九七三）【図版】巻末付録
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【参照項目】➡[[紫衣地]]、[[香衣地]]、[[田舎檀林]]、[[十八檀林志]]、[[学寮]]、[[檀林課目]]、[[部転]]
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【執筆者：宇高良哲】