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通夜

提供: 新纂浄土宗大辞典

つや/通夜

一般的には表葬式の前夜に行う法要伴夜ばんやともいう。通夜の語は元来、心願成就などのために堂宇に参籠し、夜通し祈願勤行することをいう。表葬式の前夜は、逮夜たいやと称し、遺族・親族などが亡き人を見守って、傍らで夜を明かす内輪の夜伽よとぎであった。しかし亡き人の後生を願って僧侶を招き読経回向することが一般化すると、これを通夜と呼び、逮夜年忌などの前夜を意味するようになった。本来の通夜勤行は、遺族の夜伽に伴って僧侶が明け方まで読経念仏することで、これを全通夜というが、今日では時刻を限って読経する半通夜が大半を占めている。浄土宗通夜法要に関する記述は、大正以前の勤行本や法式啓蒙書には見られず、ようやく昭和一四年初版の『改訂浄土宗法要集』に「念仏を主となし〈礼讃誦経法語和讃等〉僧俗共に和唱し得べきものを用ひて新亡の冥福を祈り法話をなす」と、通夜の内容が記されたに過ぎない。平成二二年版の『浄土宗法要集』ではじめて、初夜中夜後夜に亘る全通夜差定が示されたが、全通夜が皆無に等しい現状から『浄土宗葬儀式通夜篇(浄土宗、一九九七)には、一座で勤める半通夜差定が記載されている。


【参照項目】➡葬儀式葬送儀礼葬制逮夜


【執筆者:熊井康雄】