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融通念仏

提供: 新纂浄土宗大辞典

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ゆうずうねんぶつ/融通念仏

自らの称える念仏はあらゆる人に功徳を融通し、逆に、他人が称える念仏功徳は自分に融通されるという念仏義。永久五年(一一一七)、天台宗僧侶であった良忍は、現在の京都市左京区大原来迎院修行している最中に、阿弥陀仏から速疾往生の偈文「一人一切人 一切人一人 一行一切行 一切行一行 是名他力往生 十界一念 融通念仏 億百万遍 功徳円満」を直々に授かったと伝えられ、それ以後は自他の念仏が相互に融通し合って功徳あることを説き、日課念仏を勧めるようになったとされる。偈文直受については論証の余地が残されているが、そこには本覚思想の影響を見てとることができる。融通念仏宗では、毎朝西方に向かって良忍の説いた十界一念・自他融通といった往生浄土を願う念仏融通念仏)を十称することなどを日課とする。


【参考】融通念仏宗教学研究所編『融通念仏信仰の歴史と美術 論考編・資料編』(東京美術、二〇〇〇)、奥村隆彦『日本宗教民俗学叢書五 融通念仏信仰とあの世』(岩田書院、二〇〇二)


【参照項目】➡良忍


【執筆者:江島尚俊】