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良忍

提供: 新纂浄土宗大辞典

りょうにん/良忍

延久五年(一〇七三)—長承元年(一一三二)。良仁ともいう。融通念仏宗の開祖。尾張国富田(愛知県東海市富木島町)に生まれる。一二歳で登叡し良賀の門に入り天台教観を修め、一五歳のとき園城寺禅仁から菩薩戒を、仁和寺永意より密教灌頂を受け、二〇歳で大原に隠棲する。三七歳で来迎院・浄蓮華院を建立し浄業を修して声明を究め、声明中興の祖となる。四五歳のとき霊験あって阿弥陀仏より「一人一切人 一切人一人 一行一切行 一切行一行」の文を伝えられ、融通念仏の理を感得する。五二歳で勅により融通念仏会を宮中で厳修し、ついで諸国を巡錫し、摂津修楽寺(現・大念仏寺)に入り念仏の根本道場とする。長承元年六〇歳で大原来迎院に寂す。融通念仏は、『法華経』による融通円頓および、『華厳経』の「一即一切 一切即一」の思想にもとづいて、『阿弥陀経』の「一心不乱執持名号」の念仏を実践することにより、一人の念仏が一切人の念仏となり、一切人の念仏が一人のための念仏となるとするもので、念仏の数の功徳性が強調され、自他ともに往生することを説く。


【参照項目】➡融通念仏宗


【執筆者:福𠩤隆善】