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自誓戒

提供: 新纂浄土宗大辞典

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じせいかい/自誓戒

自ら誓って戒を受けること。自誓受戒、自誓得戒などともいう。具足戒受戒は、正式には一〇人の出家者の立ち会いのもとに行われるものであるが、それが叶わない地域では、五人の立ち会いでも受戒が認められている。ただし『十誦律』五六や『薩婆多毘尼毘婆沙』二にはこのほかに、一〇種の具足戒や七種の受戒が示され、その中の一つとして自誓受戒が説かれる。これによると摩訶迦葉のみが自誓受戒して具足戒を得たとされる。このことから、具足戒受戒は他の出家者の立ち会いが通常であり、自誓受戒は迦葉ただ一人が行った特殊なものといえる。しかし菩薩戒においては、自誓受戒が認知されている。すなわち『梵網経』に「若し仏子、仏の滅度の後に、心に好心を以て菩薩戒を受くるを欲する時、仏・菩薩の形像の前において自誓受戒すべし」(正蔵二四・一〇〇六下)と説かれ、菩薩戒受戒が自誓受戒によっても可能なことが明かされている。これに基づき菩薩戒では、自誓受戒受戒の一つの形式として認められる。ただし自誓には仏の好相を観じる必要があるとも説かれる。


【資料】『観普賢菩薩行法経』、『四分律』三九


【参照項目】➡授戒・受戒


【執筆者:石田一裕】