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破邪顕正義

提供: 新纂浄土宗大辞典

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はじゃけんしょうぎ/破邪顕正義

一巻。『鹿島問答』ともいう。聖冏撰。永和三年(一三七七)成立。神仏相関の立場から、浄土門の優越性について述べたもの。本書は、聖冏が常陸国鹿島神社に参詣した際、見聞した出来事を記録したという形式をとって著されている。それによれば、鹿島神社社頭安居寺に逗留をした夕刻に、老女が神前で弥陀名号を称え始めると、そこに醜老翁が現れ、『唯識三十頌』を誦し始め、この老女と老翁との間で展開された問答が収録されている。ここでは二者間で、神仏の関係について、また、念仏行者に関する世間からの誤解や非難について老女が問い、老翁が答えている。内容は多岐に渡るが、仏本神迹の立場から神仏の関係を把握し、また禅門や日蓮宗から浄土宗に向けられた非難への論駁ろんばく等、聖冏における諸教融和の立場からの浄土門優越の主張や、当時の浄土宗を取り巻く状況への積極的な対応が看取される。


【所収】浄全一二


【執筆者:東海林良昌】