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無量清浄平等覚経

提供: 新纂浄土宗大辞典

むりょうしょうじょうびょうどうかくきょう/無量清浄平等覚経

四巻。『無量寿経』の異訳の一つ、五存七欠の五存の一つ。『大阿弥陀経』と共に初期無量寿経に位置づけられる。現存の本経は後漢の支婁迦讖しるかせんの訳とされるが、それは『歴代三宝記』四(正蔵四九・五二下)の説と、それを承けた『開元釈教録』一の記事(正蔵五五・四七八下〜九上)による。しかし、今日、この説は研究者によって承認されていない。西晋の竺法護、帛延(あるいは白延)、さらに支謙の訳出とするなど諸説がある。本経では阿弥陀仏を「無量清浄仏(覚)」とも呼んでおり、経題の無量清浄平等覚とは阿弥陀仏を指している。内容は『大阿弥陀経』と類似した点が多く、阿闍世王太子と五百大長者迦羅越子に対する「無量清浄仏の如き仏となりたい」との願いが叶えられるという授記阿弥陀仏入滅廅楼亘がいろうこう(観世音)菩薩と摩訶那鉢(大勢至)菩薩補処ふしょを説く。『大阿弥陀経』とほぼ一致する文面の五悪段を備えている。一方で、願文の数は二四で『大阿弥陀経』と同じであるが、その順序は整理され『無量寿経』のそれに近い。『大阿弥陀経』には偈頌がないのに対し『無量寿経』にある偈頌のうち、「四誓偈」以外の偈頌を備える。このような点から、成立順序は『大阿弥陀経』と『無量寿経』の間に当たると推定されている。


【所収】浄全一、正蔵一二


【参考】香川孝雄『無量寿経の諸本対照研究』(永田文昌堂、一九八四)、藤田宏達『浄土三部経の研究』(岩波書店、二〇〇七)


【参照項目】➡無量寿経


【執筆者:齊藤舜健】