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波羅提木叉

提供: 新纂浄土宗大辞典

はらだいもくしゃ/波羅提木叉

比丘びく比丘尼びくにがサンガの構成員として守るべき教団法の条文全体をまとめて指し示す語。ⓈprātimokṣaⓅpātimokkha。別解脱とも訳される。原語の正確な意味は明らかになっていないが、原意は「個々の煩悩からそれぞれ別々に解脱することを目指すこと」であり、それが教団法としての学処の遵守・実践に結びつけられて解釈されたと考えられている。律の伝統においては、比丘・比丘尼の守るべき規則条項の一つ一つを「学処(ⓈśikṣāpadaⓅsikkhāpada)」と呼び、学処をすべて集めた全体を波羅提木叉と呼んでいる。しかしながら、初期仏教経典の中には、戒について言及している箇所を波羅提木叉と呼ぶ用例もあり、大乗仏典においても、大乗戒をまとめて説く箇所を、同じく波羅提木叉と称する用例もある。それゆえ、とりわけ学処と戒を同一視することが多い漢訳仏典においては、文献や文脈によって、どのように解釈すべきかを考えなければならない。


【参照項目】➡戒本別解脱律儀


【執筆者:山極伸之】