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=ぼんもうきょう／梵網経=
二巻。具名は『[[梵網経]]盧舎那仏説[[菩薩]]心地[[戒品]]第十』。本経の下巻は別に『[[梵網菩薩戒経]]』ともいう。[[鳩摩羅什]]訳と伝わるが、五世紀の中国成立と見られる。『出[[三蔵]]記集』一一の作者不明の「[[菩薩]]<ruby>[[波羅提木叉]]<rt>はらだいもくしゃ</rt></ruby>後記」では後秦・弘始三年（四〇一）の[[鳩摩羅什]]の誦出を伝えるが、『同』一四の羅什伝には翻訳の記述はない。『衆経目録』五は「諸家の旧録は多く疑品に入れり」（[http://21dzk.l.u-tokyo.ac.jp/SAT2018/V55.0140a.html 正蔵五五・一四〇上]）とし、中国撰述経典としている。<ruby>僧肇<rt>そうじょう</rt></ruby>の経序には、本来は一二〇巻六一品あり、現存の『[[梵網経]]』二巻はその中の「[[菩薩]]心地品第十」であるという。上巻は、[[蓮華台]]蔵[[世界]]の<ruby>盧舎那仏<rt>るしゃなぶつ</rt></ruby>が心地の法門を[[修行]]して[[正覚]]を証した由来を説く。その心地の法門とは、<ruby>十発趣心<rt>じゅうほっしゅしん</rt></ruby>、<ruby>十長養心<rt>じゅうちょうようしん</rt></ruby>、<ruby>十[[金剛]]心<rt>じゅうこんごうしん</rt></ruby>、<ruby>十地<rt>じゅうじ</rt></ruby>である。下巻は、[[蓮華台]]蔵[[世界]]から<ruby>[[閻浮提]]<rt>えんぶだい</rt></ruby>に[[下生]]した[[釈尊]]が心地法門の根本である[[菩薩戒]]を説く。その戒は悉有[[仏性]]論の立場から[[常住]]な[[金剛]]宝戒、[[仏性]][[種子]]といい、この戒を受けたものは「位は大覚に同じく、已に真に是れ諸仏の子なり」（[http://21dzk.l.u-tokyo.ac.jp/SAT2018/V24.1004a.html 正蔵二四・一〇〇四上]）と説かれ、戒とは一〇の重戒と四八の軽戒であるとしている。[[説法]]の対象は[[法師]]の語を理解できる[[六道]]のすべての在家[[出家]]者である。なお上巻と下巻の間には作者不明の「[[梵網経]][[菩薩戒]]序」があり、この経典に説かれる戒は[[仏滅]]後の[[像法]]中の<ruby>[[波羅提木叉]]<rt>はらだいもくしゃ</rt></ruby>であるとしている。[[授戒]]については[[四十八軽戒]]の第二三において二種を説き、一は仏・[[菩薩]]の形像の前で[[懺悔]]し、好相を感得して自誓[[受戒]]すること、二は先に[[菩薩戒]]を受けたものが[[法師]]となって授けることであるとしている。また[[四十八軽戒]]の第四一に、十重戒を犯したときの[[懺悔]]が説かれ、好相が感得できなければ[[現身]]に戒法が失われるので再受が必要であると説く。『[[梵網経]]』に最初に着目したのは中国天台の[[智顗]]の『[[菩薩戒義疏]]』二巻であり、[[授戒]]法を確立したのは六祖の[[湛然]]の『[[授菩薩戒儀]]』である。この[[授戒]]法は日本の[[比叡山]]に入り、[[浄土宗]]も踏襲している。
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【所収】正蔵二四
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【資料】『登山状』
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【参考】石田瑞磨『仏典講座一四　梵網経』（大蔵出版、一九七一）
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【参照項目】➡[[円頓戒]]、[[大乗戒]]、[[波羅提木叉]]、[[四十八軽戒]]、[[十重禁戒]]、[[梵網菩薩戒経]]
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【執筆者：小澤憲珠】