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有情

提供: 新纂浄土宗大辞典

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うじょう/有情

生きとし生けるもののこと。ⓈsattvaⓅsattaⓉsems canなどの訳語として特に用いられ、薩埵さったなどと音写され、衆生とも訳される。有情衆生は共にⓈsattvaの訳語として用いられ、有情新訳衆生旧訳くやく有情とは情、すなわち心を有するものであり、また輪廻する存在のこと。これに対して山川草木などの心を持たず、輪廻をしない存在を非情、非有情などという。有情の意味するところは広く、天人餓鬼なども有情である。つまり、有情はただ人間だけを指すのではなく、心を有するあらゆる存在を意味する。『俱舎論疏』一には、衆生有情よりも広い意味であり、山川草木の非情も含むと解釈する人々がいたことが記されているが、同書では「有情衆生は名異なりて、体同じ」(正蔵四一・四六四上)と述べ、この説を否定している。おおよそⓈsattvaの訳語として用いられる限りにおいて、有情衆生の意味を分ける必要はないと言える。


【参照項目】➡衆生


【執筆者:石田一裕】