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晋山式

提供: 新纂浄土宗大辞典

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しんざんしき/晋山式

新しく住職となった新命しんめい住職として寺院に初めて入る法会入院式じゅいんしきとも称した。また『法要集』(大正一三年版)では晋山式作法と称した。この式は、中宿なかやど・行列・開門式・堂内式書院式の五部の構成からなる。中宿新命が行列をなして寺院に入る前に、いったん衣体を整える家をいう。檀信徒(総代)の家などに当てることが多く、仏壇前で回向してから行列をする。行列は練り行列または庭儀式ともいい、新命法類と総代に伴われて入寺する形態を儀礼化したものである。新命の行列は、列奉行・檀信徒総代・先進侍者新命・伴者・法類新命の縁者の順に並んで本堂に進む。行列が門前にいたると、列奉行以下左右に整列して開門式を行う。「広開偈」の第四句「広開浄土門」で扉をゆっくり開き、新命十念を称える。再び列を正して本堂前に進む。堂内式では法灯継承とその報告法要を行う。新命本堂正面より入堂して、外陣げじんに座って一揖いちゆうする。住職の辞令を拝受し、伝衣でんね過去帳檀信徒名簿・伽藍譜がらんふ(その寺院の世代を記したもの)などを受ける。仏前で焼香してから本座に着いて報告法要を修す。堂内式の終了後には、書院書院式茶昆布式ちゃこんぶしき)を行う。新命は一住職として、公式の席で組内寺院檀信徒総代と共に昆布と茶を飲食する。新命は、これらの式を通して正式の住職として認められる。書院式などは地域の慣例によることが多い。『法要集』にはこの式をはじめ内仏回向鎮守法楽などの次第を明記している。総・大本山では門主法主の推戴後に入山式をしてから晋山式を厳修している。


【参考】千葉満定・中野隆元『浄土宗法要儀式大観』(名著普及会、一九八七)、「晋山式」(『一遇』一遇会、一九七六)


【執筆者:西城宗隆】