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摩訶止観

提供: 新纂浄土宗大辞典

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まかしかん/摩訶止観

二〇巻。『法華玄義』『法華文句もんぐ』と並ぶ天台三大部(法華三大部)の一つ。隋・開皇一四年(五九四)の智顗の荊州玉泉寺における講述を章安灌頂(五六一—六三二)が筆録したもの。灌頂による序文には「此の止観は、天台智者、己心中所行の法門を説く」(正蔵四六・一中)とあり、総論(五略)と各論(十広)とに渉って、円教教理に立脚した止観円頓止観)による修行の方軌が詳述されている。止観とは、「即空即仮即中」と言表される円融三諦の妙理(諸法実相)に繫念して妄念の流動を止息せしめる「止」と、円融三諦実相)に即して諸法を観察する「観」とを併称した天台独自の実践法である。しかし、『法華経』に限らず、広く『般若経』『華厳経』『涅槃経』等の諸大乗経典を引証して、仏道修行の根幹が止観の実践に存することを示す本書は、独自の発展を遂げた日本の天台宗のみならず、唐代以降の中国仏教、および日本の仏教諸宗派にも多大な影響を与えた。なお、平安期に比叡山に盛行した不断念仏は、本書に説かれる四種三昧の中の常行三昧に基づくものである。


【所収】正蔵四六


【参考】関口真大校注『摩訶止観』(岩波書店、一九六六)、池田魯参『詳解摩訶止観』天・地・人巻(大蔵出版、一九九五・一九九六・一九九七)


【参照項目】➡止観四種三昧


【執筆者:木村周誠】