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拾遺古徳伝絵

提供: 新纂浄土宗大辞典

しゅういことくでんえ/拾遺古徳伝絵

九巻。『古徳伝』とも略称。作者は親鸞の曽孫覚如。『存覚一期記』に正安三年(一三〇一)の冬頃、鹿島門徒長井道信の所望で覚如が「黒谷伝」九巻を新草したとある。絵巻物形式の法然伝であるが、西本願寺所蔵の詞書だけの写本によると、覚如はわずか一七日間で仕上げたという。編集を急ぐために『琳阿本』『弘願本』などの先行法然伝を利用している。題名の「古徳」は法然を指し、「拾遺」とは従来の法然伝が触れていない法然と親鸞の親密な師弟関係を補遺する意味。瓜連うりづら常福寺に元亨三年(一三二三)制作の完本(国重要文化財)が現存する。


【所収】法伝全、真聖全四


【参考】井川定慶『法然上人絵伝の研究』(法然上人伝全集刊行会、一九六一)、三田全信『成立史的法然上人諸伝の研究』(平楽寺書店、一九七六)、中井真孝『拾遺古徳伝絵(常福寺本)法然上人絵伝集成3』(浄土宗、二〇〇九)【図版】巻末付録


【執筆者:中井真孝】