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成唯識論

提供: 新纂浄土宗大辞典

じょうゆいしきろん/成唯識論

一〇巻。護法等菩薩造。唐・顕慶四年(六五九)玄奘訳。世親唯識三十頌』に対する注釈書。難陀・安慧・護法などインド十大論師の注釈書を、護法の解釈を正義として一書にまとめて訳出したもの。ただし現存する諸師の著作と齟齬する記述もあり、玄奘が自身の唯識思想を表明した著作という性格も持ち合わせる。翻訳で筆受にあたった基が注釈書『成唯識論述記』『成唯識論掌中枢要』を著して、中国における唯識教学を確立。以後、中国の唯識宗(慈恩宗)や日本の法相宗の根本聖典となり、多数の注釈書が作られた。


【所収】正蔵三一


【参考】佐伯定胤校訂『新導成唯識論』(法隆寺、一九四〇)、結城令聞『唯識学典籍志』(大蔵出版、一九六二)


【参照項目】➡法相宗


【執筆者:吉村誠】