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恵檀二流

提供: 新纂浄土宗大辞典

えだんにりゅう/恵檀二流

中古天台の恵心流檀那流のこと。良源門下の恵心源信檀那院覚運のそれぞれの門下で円教の理解が異なり口伝法門で伝えたことに始まる。恵心流は従果向因を特色とし、覚超、勝範、澄豪、忠尋と次第し、忠尋は口伝の法門を初めて筆録し『漢光類聚』を著す。のち順耀、瑜伽、観照、皇覚の四流が出たが椙生すぎう皇覚を正流とする。檀那流は従因至果を特色とし、慧光房、毘沙門堂竹林房、猪熊の四流に分かれ、恵檀八流を形成する。両流はやがて文献を重視し客観妥当的な解釈をする教相主義よりも自己の安心の確立を優先する観心主義が隆盛し、従因至果の始覚法門より、本来仏と観念し徹底した現実肯定が重んじられ、後世の鎌倉期の新仏教に影響を与える。その中で法然恵心流の強い西塔黒谷にありながら観心主義には立たず、同時代の証真も両流を受けながら徹底した文献主義を通した。親鸞日蓮等は恵心流法門の影響を受け、法然とは異なった教学を展開することとなる。


【参照項目】➡源信


【執筆者:福𠩤隆善】