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心意識

提供: 新纂浄土宗大辞典

しんいしき/心意識

衆生の精神的要素の総称。心(Ⓢcitta)、意(Ⓢmanas)、識(Ⓢvijñāna)それぞれも別個にこころを意味するが、経中において併記する用例が散見される。有部では「集起じっきの故に心と名け、思量の故に意と名け、了別の故に識と名く。…心意識の三名所詮、義異有りと雖も体是れ一なり」(『俱舎論』四、正蔵二九・二一下)と同体とみるが、法相宗では「是の如きの三の義は八識に通ずと雖も而も勝れて顕なるに随て、第八を心と名く…第七を意と名く…余の六を識と名く」(『成唯識論』五、正蔵三一・二四下)と八識に配当し別体とする。また同じ大乗でも智顗は『釈摩訶衍まかえん論』の説として「心と意と識とは一法にして名異あり。数に対するを名けて心と為し、能く生ずるを名けて意と為し、分別するを名けて識と為す」(『金光明経文句』四、正蔵三九・六八下)とするなど、心・意・識三者の語義や関係についての理解は多様である。


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【執筆者:小澤憲雄】