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実相

提供: 新纂浄土宗大辞典

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じっそう/実相

ありのままの真実相のこと。「諸法実相」の用例のごとく、存在に関する本来的真相、形式、状態に直結した教理の重要概念である。ⓈdharmatāⓈtattvasya lakṣaṇamⓈdharma-svabhāvaⓈbhūta-nayaなどに対応して造られた訳語。鳩摩羅什が『般若経』『法華経』などで使用し、中国語として確立を見る。鳩摩羅什に続く仏駄跋陀羅ぶっだばっだら玄奘菩提流支ぼだいるし曇無讖どんむしんらが『華厳経』『般若経』『大般涅槃経』などで多用したことから、各宗における意味の多様化にも繫がった。天台宗では、諸法実相十界互具を基調とした三千種世間ともされ、その三千種世間が一法に包含されるありよう(一念三千)を、三諦(空諦・仮諦・中諦)を承けた三観(空観・仮観・中観)によって観ずることが、基本的教理となっている。三論宗では諸法実相は空性をもって理解され、教理に反する実体的実相観が打破される。


【参考】白土わか「『実相』訳語考」(『大谷学報』一三五、一九五七)


【参照項目】➡諸法実相


【執筆者:中御門敬教】