操作

安居

提供: 新纂浄土宗大辞典

あんご/安居

夏の雨期の間、出家者が一ヶ所に籠って静かに修行すること。安居安居などともいう。ⓈvarṣaⓈvārṣikaⓅvassaの訳で雨期の意。豪雨により遊行が困難な上、生類を踏み殺すおそれもあるため、インド諸宗教における古くからの習慣とされてきた。その期間は三ヶ月とされる。この習慣は、中国や日本にも伝わり、陰暦四月一六日から七月一五日に至る期間行われる。この期間を一夏いちげ、始まりを結夏けつげ(「けちげ」ともいう)・結制けつせい、終わりを過夏かげ解夏げげ(「かいげ」ともいう)、その間を半夏はんげという。また安居中に禁を犯して外出することを破夏はげという。最終日(もしくはその翌日)は自恣じしの日とし、安居中に犯した罪の有無を互いに問い、告白する作法が厳粛に行われる。日本では、天武天皇一二年(六八三)夏に宮中で行われたのが文献上の初出であり、その規定が『延喜式』二一・玄蕃寮で定められている。現在では各宗で行われ、僧侶講習会安居と称することもある。冬季にも行われ、冬安居という。


【資料】『四分律』三七、『四分律刪繁補闕行事鈔』上、『正法眼蔵』七九


【参考】『日本書紀』二九(『新訂増補国史大系』一下、吉川弘文館、二〇〇四)、『新訂増補国史大系』二六(同、二〇〇四)


【参照項目】➡自恣


【執筆者:田中正流】