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天台山

提供: 新纂浄土宗大辞典

てんだいさん/天台山

中国浙江省天台県の城北に位置し、福建・浙江両省に連なる仙霞嶺山脈の東北側、赤城、仏隴、東掖、華頂など諸山の総称。天梯山、台岳ともいう。徐霊府『天台山記』によれば、天台山は古より、北極星を囲む三台星宿(台宿・光輔・紫宸)に応ずる福地ゆえに、「天台」と言われた。「仙山仏国」の別称をもつ天台山には、道教南宗の本山である桐柏宮、天下第六福地である玉京洞が所在するほか、仏寺も多数ある。太建七年(五七五)、智顗ちぎ天台宗開山寺である修禅寺を建てた。智顗が講経した「智者大師説法処」は、現在も残っている。修禅寺の西側に「智者塔院」ともよばれる真覚寺があり、智顗の霊龕塔が納められている。智顗の滅後、隋の煬帝ようだいの勅令により国清寺が建てられ、以来、日中韓三国の天台宗の祖庭となり、日本の最澄、円載、円珍、成尋、重源栄西俊芿しゅんじょうなどがここを訪ねた。特に、成尋は、宋の地で病死したため、勅令によりその遺骨は国清寺の「日本善慧国師之塔」に納められた。天台山の東側に東掖山があり、慈雲遵式はかつて、そこの承天寺(後の能仁寺)に住し、後に神照本如に伝えられ、本如はさらに白蓮寺(蓮社)を開山し、東掖山を宋代天台浄土教の一大拠点とした。


【参考】常盤大定『支那仏教史蹟踏査記』(国書刊行会、一九七二)、陳公余・野本覚成『聖地天台山』(佼成出版社、一九九六)、斎藤忠『中国天台山諸寺院の研究』(第一書店、一九九九)


【執筆者:林鳴宇】