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報恩偈

提供: 新纂浄土宗大辞典

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ほうおんげ/報恩偈

出家をしようとする者が、父母等の恩愛の絆を断ち、仏道に入るために唱える偈文。剃度作法で唱える。「流転三界るてんさんがいちゅう 恩愛不能おんないふのうだん 棄恩入無為きおんにゅうむい 真実報恩者しんじつほうおんしゃ」。『四分律行事鈔』下四(正蔵四〇・一五〇上)に出るが、「恩愛不能脱」とする。『諸回向清規』五(正蔵八一・六八二下)には「出家入道剃髪偈」としてこの偈を載せる。『浄土苾蒭びっしゅ宝庫』では「鬚髪剃除しゅほつたいじょ偈」と題する(下・一一オ)。『法要集』(昭和一四年版)で「報恩偈」と偈題された。三界輪廻している間は恩愛の絆を断ち切ることはできないが、恩愛を棄てて仏道に入ることが本当の意味で恩に報いることになる、の意。得度式和上が教えて受者に唱えさせ、受者は唱え終わると俗服を脱ぐ。『浄土剃髪略式』では三説と指示するが、『法要集』では一回とする。


【参照項目】➡剃度作法


【執筆者:巖谷勝正】