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回心

提供: 新纂浄土宗大辞典

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かいしん/回心

回心とは、啓示悟りといった宗教経験を境に、その人の人格や生活様式、人生などが根本から一変するような過程をいう。また、その変化が急激で明確な場合はとくに、その中心契機となった宗教経験を指して、回心と呼ぶことも多い。例えば、パウロの回心、アウグスティヌスの回心、ルターの回心などはよく知られている。そもそも、回心という語は、植村正久などの明治期のクリスチャンによって用いられ始めた、英語のconversionの訳語である。したがって、回心はもっぱらキリスト教的な文脈で用いられてきた。しかしながら、この語が仏教廻心えしんを手がかりに成立したという事実からも示唆されるように、キリスト教回心に相当する過程や経験は、仏教はもちろん、イスラム教にも認められる。それに留まらず、西田幾多郎が言うように、回心なくして宗教はないとすれば、回心は諸宗教の核心部分をつく語と言っても差し支えないであろう。


【参考】柳川啓一編『宗教学辞典』(東京大学出版会、一九七三)、脇本平也「回心論」(同編『講座宗教学二 信仰のはたらき』東京大学出版会、一九七七)、徳田幸雄『宗教学的回心研究—新島襄・清沢満之・内村鑑三・高山樗牛—』(未来社、二〇〇五)


【参照項目】➡宗教心理学廻心


【執筆者:徳田幸雄】