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四誓偈

提供: 新纂浄土宗大辞典

しせいげ/四誓偈

無量寿経』上巻に見られる、五言四句の一一行からなる偈頌。浄土宗における各種法要や日常勤行における誦経に用いられる代表的な経文。世自在王如来と出会い仏となることを志した法蔵比丘が、自らが建立を願う理想の仏国土について、如来の現じた二百一十億の仏国土の中から長所を厳選して四十八通りに取り入れるとして、如来の御前でその一々の成就を願う誓い(四十八願)を建て、その決意を偈頌に託して重ねて表明した。冒頭の三行において「我れ超世の願を建つ。必ず無上道に至らん。この願満足せずんば、誓って正覚を成ぜじ」「我れ無量劫において、大施主となりて、普く諸もろの貧苦をすくわずんば、誓って正覚を成ぜじ」「我れ仏道を成ずるに至らば、名声、十方に越えん。究竟して聞こゆる所なくんば、誓って正覚を成ぜじ」(聖典一・二三三/浄全一・一一)と三通りに誓った後、仏の理想像を語って「最勝尊に等しからん」と志し、末尾の一行で「この願もし剋果せば大千まさに感動すべし。虚空の諸もろの天人まさに珍妙の華をらすべし」(聖典一・二三四/浄全一・一一)と所願成就の決意のほどを述べる。この決意について聖光は『西宗要』で、四十八願の成就を誓ったものと解釈し、冒頭と末尾で合わせて四誓が明かされている(浄全一〇・二二九下)とする。また良忠は『西宗要聴書』で「四誓の偈頌は四十八願を結する」(浄全一〇・二八三下)と論じ、呼称と評価に言及する。なお、真宗系では、「三誓偈」あるいは「重誓偈」と称する。


【執筆者:袖山榮輝】