操作

名字

提供: 新纂浄土宗大辞典

みょうじ/名字

名前、名称のこと。ⓈnāmanやⓈnāmadheyaの訳語としても用いられる。大乗経典には、物事の本質は空であるが、名称をつけることで人々は本質を見出し、執着の原因になるとする思想が見られる。たとえば『入楞伽経』には「名字より一切法相を虚妄分別す」(正蔵一六・五二七下)とあり、名字によって人々は虚妄分別を起こすとしている。つまり、我々の誤った認識は言葉を使うことによって生み出されてくるということである。また名字は、名号などと同様に、名前の意味でも用いられる。特に仏・菩薩の名前を聞くことには多大な功徳があるとされ、『無量寿経』上では、四十八願の中に「我が名字を聞きて」(聖典一・二三〇/浄全一・九など)と説かれ、阿弥陀仏の名を聞くことによって得ることができる功徳が様々に説かれている。


【参照項目】➡名号


【執筆者:石田一裕】