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十八界

提供: 新纂浄土宗大辞典

じゅうはっかい/十八界

六根・六境・六識の一八種の法のこと。界とはⓈdhātuの訳語で、要素を意味する語である。『俱舎論』によれば「法の種族の義、是れ界の義なり。一の山中に、多くの銅・鉄・金・銀等の族あるを説きて、多界と名くるが如く、是くの如く一身、或は一相続に十八類の諸法の種族有るを十八界と名づく」(正蔵二九・五上)とあり、あたかも一つの山が多種の鉱石から成り立っているように、我々の身心は一八種の法から成り立っている。そして、一八の法は心身の構成要素であるから、十八界と呼ばれる。これら一八の法は阿含経典において無常無我を説き示すにあたり頻繁に用いられ、さらに『大般若経』においては五蘊十二処と共に十八界は空であることが繰り返し説かれる。またアビダルマ仏教、特に説一切有部は十八界を様々な視点から分類し非常に煩瑣な教学を作り上げた。つまり十八界部派仏教大乗仏教を問わず、共通の語として広く用いられ、さまざまに考察されていることが知られるのである。


【参照項目】➡六根・六境・六識


【執筆者:石田一裕】