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別所

提供: 新纂浄土宗大辞典

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べっしょ/別所

本寺の地域とは別に、修行のためなどに存在する場所。別院隠遁者や修行者が草庵などを構えて住む場所で、特に平安後期以降、念仏者が好んで別所に住した。所属する寺院にあわせて「○〇別所」などとして用いられる。例えば南都寺院では東大寺別所として、重源が定めたとされる播磨別所や高野の新別所など七箇所が、興福寺には小田原別所がある。また京都比叡山別所には西塔黒谷大原別所が存在した。別所念仏信仰とかかわりが深く、播磨別所には浄土寺が、小田原別所には浄瑠璃寺が存在し、ともに念仏信仰の場であった。また比叡山別所である黒谷からは法然が、大原からは良忍がでている。また別所は、ひじりと呼ばれる行者たちとも関係が深く、彼らの存在は民間への念仏信仰の普及の一助になったと考えられている。平安後期頃から見られる別所を中心とした様々な念仏信仰の形成は、日本における浄土教の発展を考える上で重要なものである。


【参照項目】➡黒田の別所高野の真別所


【執筆者:石田一裕】