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円光大師御遺跡廿五箇所案内記

提供: 新纂浄土宗大辞典

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えんこうだいしごゆいせきにじゅうごかしょあんないき/円光大師御遺跡廿五箇所案内記

一巻。内題は『廿五ヶ所巡拝行程案内記』。岸誉順阿霊沢撰。明和三年(一七六六)刊。法然の遺跡とする二五の札所や番外寺院詠歌・由緒と巡拝路を記す。法然五五〇回忌の翌年の宝暦一二年(一七六二)四月、霊沢は師廓誉の遺志を継ぎ、僧俗からなる行脚発起助縁講頭蓮衆という参拝団と法然の遺跡を巡拝した。同行人への案内の小冊をもとに、明和二年(一七六五)に『浄土元祖慧成大師御遺跡巡拝案内記』と題して出版願を出し、翌年に改題増補して刊行した。二五の札所数は法然の本地である勢至菩薩因縁を説く『大仏頂首楞厳経』の「二十五円通」に拠り、札所や番付は霊沢と大坂講衆が選定した。札所は吉水の流れの源を知り、祖師の慈恩に報謝するために、法然の遺跡や御影名号などがある①誕生寺②讃岐法然寺十輪寺如来院勝尾寺二階堂⑥四天王寺念仏堂一心寺報恩講寺⑨当麻奥院⑩香久山法然寺⑪大仏龍松院⑫伊勢欣浄寺⑬清水瀧山寺正林寺⑮伏見源空寺⑯粟生光明寺二尊院月輪寺寺町法然寺誓願寺勝林院知恩寺清浄華院金戒光明寺知恩院とし、黒谷青龍寺など多くの番外も示した。札所詠歌は西国巡礼歌に準じて法然の自詠とする歌をあてた。札所への経路や道中の名所も案内し、納札・笈摺おいずるの書き方や札納めの回向文も載せ、巡拝者への手引書とした。現在巡拝されている二十五霊場は、本書に示す札所がもとになっている。


【所収】『藤堂恭俊博士古稀記念 浄土宗典籍研究』資料篇(同朋舎出版、一九八八、明和三年版の影印翻刻)


【参考】伊藤唯眞「近世における法然上人遺跡巡拝について」(『仏教文化研究』二〇、一九七四)、山本博子「『円光大師御遺跡廿五箇所案内記』索引」(『法然上人研究』三、一九九四)


【参照項目】➡法然上人二十五霊場


【執筆者:山本博子】