操作

五位七十五法

提供: 新纂浄土宗大辞典

2018年3月30日 (金) 06:23時点におけるSeishimaru (トーク | 投稿記録)による版 (1版 をインポートしました)
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)

ごいしちじゅうごほう/五位七十五法

一切法を色・心・心所・心不相応行・無為の五つの範疇に分類した説一切有部の説。原始仏教では五蘊十二処十八界の三科で分類したのに対し、有部では色(物質的なもの)、心(心の主体である識、心王)、心所(心のはたらき)、心不相応行(心でも身でもないもの)、無為(原因と条件とによって変化しないもの)の五部門(五位)に分類した。原始仏教でいう一切法有為転変し、無常・苦・無我である有為法だけをいうが、有部では観念的、分析的傾向をいっそう進めることにより、「有為」の対極にある「無為」までも並列して列挙するようになった。このうち心不相応行というのは五蘊中の行蘊を心相応だけでなく、心不相応とに分類して成立したもの。この心不相応行に配当する法は因果関係をみる上で、法と法との結合・分離、あるいは関係そのものなどまでを独立させて法としたものである。有部の説く五位の法には七五種類あり、具体的には色法を一一、心法を一、心所法を四六、心不相応行法を一四、無為法を三とする。心所法を四六とするのが伝統説であるが、さらに多数あるとするインドの注釈家(ヤショーミトラ)の説も明らかとなってきた。アビダルマでは「五位七十五法」とし、唯識になるとこれに二十五法を加上して「五位百法」とする。ただし有部では七十五法を実在する法とするが、唯識ではすべてを仮法とする点が異なる。


【参考】西村実則『アビダルマ教学—俱舎論の煩悩論—』(法蔵館、二〇〇二)


【執筆者:西村実則】